会社が定める研修への参加強制について

◯事案の概要

健康上および主観的な理由で参加必須の研修を拒否している従業員への対応について相談したい

◯相談内容

会社からの研修参加命令権とその限界について、ご意見をお聞かせください。

就業規則には「会社は,正社員に対し,日常の指示・命令として,研修(一般教養等に関する研修を含む。)を命じることがある。」とあり、また実態として、管理者や一般従業員に対して、会社が選択した研修の参加を以前より実施しています。そのうち、あるセミナーにおいては、大声を出したり、暗記テストを実施したりと、複数日実施するものとなっております。このセミナーは、他の労働者も参加を躊躇うような発言を確認しているようなものであることも確認しております。

今回、ある従業員から、健康上の理由および当該セミナーの講師の素行が受け容れられないことを理由として、当該セミナー参加を拒否したいという要望を書面で受けております。理由は、大声を聞くと過呼吸になる、気持ちが悪くなり何も考えられなくなる、このセミナーの事を考えると夜も眠れなくなる、というものでした。

更に、会社役員の一人から「出勤表で朝礼が偏って作られているのを公平に作ってほしいと相談したら、診断書で研修を逃れている私は公平じゃない」という様な発言を受けたとして、診断書で逃げているのは卑怯者なんだと言われたと受け止め涙が止まらなくなる、というものでした。

そこで、この要望書の内容を信じたと仮定したとき、セミナーの講師に関する不満は、あくまで本人主観のみの判断であるため受け容れないものの、健康上の理由については、主治医診断書が提出されたときは、それを全く無視をすべきではない、と考える一方、会社の従業員に対する人事権に基づく研修参加命令権は、それが権利濫用と認められない限り、労働者のキャリアアップや人格形成に資すること等を目的としている以上、それは幅広く会社の裁量にあるものとも考えます。

そうすると、人事権(研修参加命令権)と労働者の健康状態とを衡量したとき、休職させるか否かを考えるのと同様に、会社側は積極的に労働者の素行を確認し、診断書の内容によっては産業医面談も実施させ、その結果、当該セミナー不参加の方向性が示された場合には、セミナーは中止させるべきでしょうか。

この様な事実を認めると、同様にセミナー不参加の要望を唱えるものが現れ、等しく参加を命じることが困難になるものと考えるところ、セミナーへの参加命令権がどこまで及ぶのか、よろしくお願いします。

◯菰田弁護士の回答

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