当日まで労働日が特定されない場合の労務管理

◯事案の概要

労働日が当日に決まるため労働日でなかった場合は無給としているが問題であると考えられるため適切な対応を知りたい

◯相談内容

キャディの勤務について相談させてください。

雨などの悪天候の際、当日に予約が減ることがあります。例えば、前日確認したときには10組予約があったのでキャディ10名に出勤要請し、当日利用者も来場し、プレーの有無を相談した結果、当日プレーする組が3組となりました。こういった場合、キャディは3名出勤で足りていることになります。

雨などの悪天候ではキャディも仕事をしたくないのか、キャディが足りているならば残りの7名は帰りたいと申し出てきます。よって、上記の場合、会社もプレーされる組数分のキャディは確保できているので帰りたいなら帰っても良いと判断し、帰らせておりました。そして、この場合、無給(基本給は日給制)かつ交通費も支給無し、が現状の対応です。

ここで問題になると考えられるのが、以下の3つです。

[1]労働日の特定が当日まで確定しないという実態(雨天時等の場合)
[2]労働者が帰りたいとの希望から出勤した当日の日給及び交通費が不支給(無給)という事実
[3]労基法26条の休業手当

なお、個別雇用契約書においては休日を特定しておらず、また、就業規則には以下の記載があるのみです。
①4週を通じて6日
②その他会社が指定した日

先ず[1]ですが、雨天時等の勤務の有無は工事現場作業員の建設業にも似ていますが、建設業は内勤もあるのでそれとも異になると考えますが、いわゆるシフト制勤務労働者に近いと考えるところ、それでも労働日の特定が当日にならないと決定しない、という点では非常に問題があると考えられ、この点は出勤した事実でもって当該当日は労働日と判断される可能性が高いと考えますが、いかがでしょうか。

次に、[2]ですが、これは[1]と[3]とも連動すると考えるところ、[1]で労働日と特定されたと取り扱うならば、[2]は契約上、[3]は法令上、求められることになるところ、本人が帰りたいという主張に基づき、会社もその日の労働を免除したのであれば、これは労使双方の同意による不就労日となり、[2]の賃金及び交通費も不支給対応は問題無いと考えました。

ただし、[3]の休業手当の問題が懸念されるのですが、この点も、労働者から帰りたいという主張に基づく対応のため、休業手当の支払もない、とも考えられます。この点はいかがでしょうか。

また、一方で、[1]の実態は、基本給が日給制であるところ、あまりにも労働者側にとって不安定な状態におくため、例えば梅雨時期に1カ月間全て雨が降った場合は給与はなし、ということが理論上は考えられてしまうため、認められないとは思うのですが、しかし、キャディ業務という特殊制から、①天候不順、②利用者の意向、という二つの要件があり、①②いずれも確定しない限り、当日が労働日として特定させることの難しさは考えられるところ、当日になって労働日が特定される、ということも強引過ぎますが、考えることもできます。この点は、やはりあり得ないでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

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