最低賃金の上昇に合わせて総額を抑える目的で所定労働時間を短くすることに問題はないか

◯事案の概要

所定労働時間を短縮して総額を維持するという方法で最低賃金を満たすことに問題がないか知りたい

◯相談内容

最低賃金アップに合わせて、総額を抑えることを目的に月給そのものをアップするのではなく、月給をそのままとし、所定労働時間を短くする手法があるようです。

具体的には8月まで所定労働時間170時間で月給187,000円で時間単価1,100円だった人について、このままだと最低賃金を割ってしまうので、9月から160時間にすることで同じく月給187,000円でも時間単価1,168円となり最低賃金を超えるということになります。

つまり、最低賃金が上がり時給ベースで上昇する分を所定労働時間を減らし、総額を常に一定にするという事です。

所定労働時間だけみれば減少致しますが、最低賃金の上昇分は発生しないことになり、最低賃金がいくら上がっても所定労働時間だけが毎年微減していくことになります。つまり、最低賃金がいくら上昇しても、それに応じた所定労働時間が使用者の判断で減少し、総額は上昇しないこととなります。

もしこれが許容されるのとなると、やや極端ですが使用者の判断で所定労働時間を半分にしたら、総額も半分していいという解釈も出てきてしまうのではないかと考えました。総額が維持できていない点については大きく違いますが。単価さえ維持できていればという前提がこの手法の前提にあるはずなので。

元々の月給が18万円で、最低賃金の上昇によって、18万1,500円になるところ、1,500円分の所定労働時間を減らし、18万円を維持するという事になりますと、労契法10条議論で、合理的な理由は「最低賃金の上昇」が本来的な理由になるはずです。

そうなると、合理的理由とは言えないはずであり、不利益変更論になり得ると考えたところです。

他方、上記例で1500円=所定10分とするところ、何らか別な理由で30分短縮し、18万円を維持すれば、これは合理性議論なので不利益変更の争い余地はあったとしても、直ちに、あるいは濃厚とは言えないと考えております。

ご意見いただければ幸いです。

◯菰田弁護士の回答

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