著作権法上で許容される引用の範囲について

◯事案の概要

院内薬剤師への教育ツールとして書籍上のデータを利用したいが著作権法上の判断がつきかねるため助言をいただきたい

◯相談内容

著作権について相談させてください。

相談者(Aとします)は、病院内の薬剤師に対する教育ツールを、商用として開発する構想を持っています。Aは、薬剤について図書8冊からデータを写し、それ以外にも、A自身の知見をもとにデータを入力して教育ツール用のデータベースを作成します。その教育ツールでは、ある薬剤について検索すると、データベースを用いて解説を構成して表示するという仕組みです。

このデータベースの形成と引用のいずれかが、著作権違反につながるのではないかと思っているのですが、判断がつきかねるので助言をいただけないでしょうか。

【引用についての懸念点】
まず、引用については、著作権法32条にこのようにあります。


公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。


このうち、「公正な慣行に合致する」かは判断が難しいと考えています。「報道、批評、研究その他の引用の目的上」については、研究用にあたると考えています。「正当な範囲内」については、教育ツールの解説として表示される内容の上では、引用部分は従たる内容にあたると判断しています。また、引用した箇所は編集を行わず、本文とは区別し、出典を明らかにするようにしています。

しかし、データベースについては、解説として表示される内容よりも多くの部分を複製してしまっています。解説の画面で表示するときに都度引用箇所に出典を明らかにすることで適正な引用となり得るのか?判断がつきません。

【データベース作成について】
Aが参考とした書籍の巻末には次のようにあります。


本書の複写に係る複製、上映、譲渡、公衆送信(送信可能化を含む)の各権利は株式会社時報が管理の権利を受けています。
<出版社著作権管理機構 委託出版物>
本書の無断複製は著作権法上での例外を除き禁じられています。
複製される場合は、そのつど事前に、出版社著作権管理機構の許諾を得てください。


この記載内容についても疑問があります。データベースの作成は、ここに記載される複製にあたるのか?ここでいう著作権法上での例外に、引用も含めることはできるのか?

私としては、著作者(管理者)からの許諾を得ることなく商業化することは無理筋だと思っているのですが、明確にどこがダメと言い切れないために、助言をいただきたいです。

◯菰田弁護士の回答

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