未払い残業代の支払い勧告を受けている会社が給与制度の不利益変更を不同意の上で実施してしまった場合の対応

◯事案の概要

労基署より未払い残業代の支払い勧告を受けて対応している最中に、適切な手続きを経ずに給与制度の不利益変更を実施していたことが発覚したが、会社全体としての精算以外に再生方法があるか

◯相談内容

労基署から未払い残業代の支払い勧告を受けている会社についての相談です。

今年の3月に当時の事務員が社長に進言し、4月より従来の1か月変形から1年変形に制度を変更して、基本給から固定残業代を分割させるということをしたそうです。(想像するに、これまでの時間外の不足を考えたときにこの人なりにどうにかしなければと思った末の行動とも見えますが、あまりにも乱暴です。)

しかしながら、不利益変更にもかかわらず、個別の同意をとるでもなく、会社の一方的な説明(経営陣が各班長に伝達。それを班長から班員に説明するという程度)にとどまり、従業員代表者としてその事務員が意見書、労使協定届の代表として署名押印して提出したそうです。その直後その事務員は自己都合で退職し(理由はわかりません)、時を同じくして、従業員数名が労基にかけこんだという状態。

その後、二か所ある事業所に監督署の検査が入り、本社事業所の管轄労基が時間外の未払いを1年遡及して計算のうえ支払うよう勧告を受けています。その際に従業員代表設定の不備も発覚したため無効というジャッジをうけました。この場合、36および1年変形の無効はともかくですが、不利益変更で同意を取っていないということで就業規則も無効と判断したほうがよいのでしょうか?

不利益の程度としては大きなものがあるということで無効として旧制度で再計算したらおそらく数千万レベルに行くような雰囲気です。さりとて、申告した労働者だけ精算というわけにも当然いかないのでもうこれは会社そのものの精算ということも視野にいれなければならないのか、はたまた社長が土下座して多少支払期間を延ばしてもらうなどの対応はできるのか、でもそそもそも時間外を軽く見ていたのであれば経営陣の責任は不可避と思います。

いうまでもなく、この間社労士は一切関与しておりません。事前相談でとめられる話であったレベルなので、相当話が大きくなってからのご紹介だったので、残念におもっています。この会社を再生させる方法として基本的に精算をすべて終わらせる以外の方法は考えられますでしょうか。ご意見いただけましたら幸いです。

◯菰田弁護士の回答

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について