所有する不動産が特定空き家の指定を受ける可能性があるが、解体する費用がない

◯事案の概要

市税の滞納が数百万円あり、毎月数万円ずつ滞納の税金を納めている相談者がいる。不動産を所有しているが、解体に数百万円かかる見込みとなっている。不動産が特定空き家の指定を受ける可能性があるが、解体する費用がない

◯相談内容

夫を亡くし、子どものいない高齢女性の話です。市税の滞納が数百万円あります。不動産をいくつか所有していますが、あまり価値がありません。役所と協議をして、毎月数万円ずつ滞納の税金を納めている状況です。

本人は財産管理はまともにできないので、親族が通帳を預かって管理しています。親族の1人が親族と話し合って、通帳を預かり世話をしてきましたが、70歳を超えて体力的に限界を感じています。

問題は、所有する不動産です。他人名義の土地の上に建っている建物が2つあります。ともにボロボロで、市から、「このままでは特定空き家に指定します」という文書が届いています。

解体の見積りを取ったところ、500万円程度かかりそうです。親族がその金銭を負担する気はなく、相続となれば全員放棄する予定です。

この状態で、私に財産管理と任意後見、死後事務委任の依頼をしてこられました。私が財産管理を受任することになれば、滞納市税の毎月返済額を少し減らしてもらい、少しずつでも解体費用を積み立てていくことを考えています。

そこで、お伺いしたいことがあります。

不動産を放置した場合、いずれ特定空き家の指定を受けることになると思います。それでも、解体する費用を用意できない場合、行政代執行も行われるかもしれません。

①その状況で本人に費用を支払う命令が来た場合、本人には資産がないのですが、どうなるのでしょうか?

②親族の収入も差し押さえの対象になるようなことはあるのでしょうか?

③本人が亡くなって相続人全員が相続放棄した場合、行政の負担した解体費用を弁償する義務はなくなるという理解でよいのでしょうか? 倫理的にはよくないと思うのですが……

④滞納市税の返済を優先させるべきか、解体費用の積み立てを優先させるべきか、判断がつきません。

⑤私が考えたのは、市税未納のままでは、市の解体費用の補助制度も利用できないので、まずは市税滞納を解消することを優先させ、それが終わったら解体費用を積み立てていく。ただ、おそらく解体費用が貯まるまでに本人が死去するのではないかと思うので、その時点で相続人が全員相続放棄する。

そうなると市は解体費用を回収できませんが、負担する人がいない以上、それはしかたないと考えています。

◯菰田弁護士の回答

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