変形労働時間制+固定残業代ありという労働条件の雇用契約書について

◯事案の概要

変形労働時間制+固定残業代ありという労働条件で雇用契約書を作成している

◯相談内容

固定残業代について質問させて下さいませ。

変形労働時間制+固定残業代ありという労働条件で雇用契約書を作成しています。

【現状】
・シフト制かつ変形労働時間制により労働時間管理、ただし就業規則に表記なし届出なし労使協定も無し
・雇用契約書には「変形労働時間制」とだけ記載
・固定残業代は、現状の雇用契約書において「調整手当(○時間までの残業代を含む)」という書き方。調整手当の金額は人によってバラバラ
・○時間を超える時間外労働分は割増賃金を支給している
・今後雇用する人は、「変形労働時間制・シフトによる管理」かつ「固定残業代○時間分を手当としてつけたい」という事業主からの希望。調整手当から固定残業手当を切り出して別個の手当とするのはOK、手当の名称にこだわりはない

①固定残業代についての表記

「対価性」「明確区分性」が分かるように雇用契約書での表記を色々なパターンで考えてみました。

■現状の調整手当から定額残業の趣旨にあたる分を切り出しする場合

1固定残業に休日労働分を入れない場合
・調整手当○○円/月
・定額残業手当○○円/月(月○時間分の時間外労働分として)

2固定残業に休日労働分を入れる場合
・調整手当○○円/月
・定額残業手当○○円/月(月○時間分の時間外労働及び休日労働分として)
⇒1だと基本給や他の手当から算出した割増基礎単価×1.25以上となるように定額残業手当を設定すれば良いと思いますが、2だと、休日労働は×1.35なので単純計算できず多めに設定するしかないことになりましょうか?

3固定残業に休日労働分を入れるが、別の手当にする場合
・調整手当○○円/月
・定額残業手当○○円/月(月○時間分の時間外労働分として)
・休日勤務手当○○円/月(月○時間分の休日労働分として)
⇒これでは休日出勤のない月にも手当をつけることになり、本末転倒ですよね。

■現状の調整手当の中に定額残業の趣旨を含有する場合
(石嵜先生の本を確認すると、趣旨が混在する場合に有効性を認めた裁判例が無いのでやめた方が良いと書かれていたので、どうしても事業主が希望する場合以外はやめとこうと思いますが…)

1固定残業に休日労働分を入れない場合
・調整手当○○円/月(月○時間分の時間外労働分○○円・インセンティブ分○○円)

2固定残業に休日労働分を入れる場合
・調整手当○○円/月(月○時間分の時間外労働及び休日労働分○○円・インセンティブ分○○円)

②固定残業代は「1.25(1.35)」分なのか「0.25(0.35)」分なのか

「定額残業手当○○円/月(月○時間分の時間外労働分として)」とした場合、手当の○○円は時間外労働10時間分に対する割増分「0.25」なのか、割増を含んだ「1.25」なのか。
⇒現状のお客様の管理も後者であり、私自身も後者ととらえるのが普通かなと思ってきましたが、それで問題ないでしょうか。あるいは、前者と後者では、雇用契約書や賃金規程などに表記する文言が変わりますでしょうか。

③調整手当の有効性

そもそも調整手当として前職給与との調整を図ることは問題ないでしょうか?手当は自由につけていいと思いますが、その趣旨や他の従業員との公平性を考えなければと思います。

現状では4万円ほど支給されている人が多いですが、様々です。前職との調整弁なので額に開きが出るのは仕方がないですが、そもそもそんな趣旨はいいのか?と疑問です。

⇒前職との調整で何か手当をつけることは良くあると思いますが、他社はどのような手当を採用されていたりしますでしょうか?なお、調整手当のほかには、精勤手当・役職手当・資格手当・土日勤務手当など結構色々つけてらっしゃいます。

④変形労働時間制+固定残業の組み合わせは有効か

現状は、シフト管理による変形労働時間制(前月末までにシフト確定)で法定外労働時間を算出し、そのうえで固定残業分○時間を引いているようです。

⑤固定残業制の使用者側メリットとは

そもそもの質問で恐縮なのですが、定額残業手当って使用者側に金銭的なメリットは何も無いように思うのですが、経営者がつけたがるのはなぜでしょう?

求人の際の見た目賃金を上げるためかなとは思いますが、お客様が固定残業制度にこだわっておられる場合に、菰田先生はどのようにご説明されていらっしゃるかお聞きできますと有難いです

◯菰田弁護士の回答

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