純粋持ち株会社と事務スタッフについて

◯事案の概要

純粋持ち株会社(HD)を作り、現在運営している2社をぶら下げる。事務スタッフはHDをメイン所属として、子会社であるA社又はB社の仕事を兼務する

◯相談内容

2つの会社を運営している会社があります。純粋持ち株会社(HD)を作りA社、B社をぶら下げます。HDは事業持ち株会社ではなく純粋持株会社となり、A社、B社からロイヤリティを受け取ることで事業経営を成り立たせていきます。

事務職のスタッフについては、HDをメイン所属として、子会社であるA社又はB社の仕事を兼務する形です。

①メイン所属のHDとの雇用契約だけを存在させ、兼務する子会社であるA社又はB社とは雇用契約を締結しないことの法的可否について

(所属事業場(HD)に在籍のまま、通常勤務する以外の事業場(子会社A又はB社)の業務を応援するために勤務する位置づけ)

【見解】
HDの就業規則の人事異動(会社は、社員に次の各号の異動を命ずることがあり、社員は、正当な理由がない限りは拒むことができない)の規定で、「応援(所属事業場に在籍のまま、通常勤務する以外の事業場の業務を応援するために勤務すること」の規定が置かれていれば法的には問題ないものと判断。

②「応援」の形をとる場合、HDにしか籍がありませんが、実際の仕事は「A又はB社」で電話対応等の仕事をする場合、兼務する事務スタッフが「A又はB社の名刺をもって活動」又は対外的に「A又はB社の社員」として対応することの法的問題点は?

【見解】
法的問題が生じるとすれば、この事務スタッフがA又はB社でトラブルや不正・不祥事を起こしたときの対外的な賠償問題と、HDとA又はB社間の賠償額の負担についての問題は考えておく必要がある。

③応援という形をとる場合、当該事務スタッフに対する給与は全額HDより支給するが、当該事務スタッフは実際にはA又はB社で職務遂行をしているのも事実。

当該事務スタッフに対する給与は、全額HDが負担することは問題がないか?

【見解】
問題ない。ただし、仮に週40時間の半分の20時間をA又はB社の応援業務を行っているような場合であれば、その20時間分については、HDは、A又はB社から経営指導料等の名目か、実際の労働時間分の金銭の支払いが行われる必要がある。

◯菰田弁護士の回答

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