医療法人の分院管理医師(分院長)の労働者性と雇用保険について

◯事案の概要

医療法上の理事が雇用契約を締結し、報酬の全額が雇用契約書に記載された年俸である場合の雇用保険の扱いについて

◯相談内容

ある医療法人につきまして、分院長の雇用保険に関しての質問です。

・本院+分院2医院(分院A・分院Bとします)をもつ医療法人です。
・各院長は以下のとおりです。
 本院:理事C、分院A:理事長、分院B:理事D

 ※事業承継の経緯から、理事長は本院長でなく分院Aの院長になっています。実質的な本店機能は分院Aであるものの、登記や税務上の本店となっている本院に労働保険も継続一括しています。
・本院長である理事Cは、100%役員として雇用保険に入っていません。
 Cに対する契約書などは無し。
・分院Bの院長である理事Dは新規採用され、年俸制の賃金で雇用契約を締結しています。
 雇用契約書のみ当方に回ってきたので雇用保険資格取得届を出しました。
 
本件で質問させていただきたいのは、このDについてです。

①医療法上の理事(役員)だが雇用契約を締結し、報酬の全額が雇用契約書に記載された年俸である場合の雇用保険の扱いは?

現状、Dは理事としての地位がある一方で雇用保険被保険者です。
上記の雇用契約からしても労働者として扱われていますが、関与している税理士さんによると、年俸のほかに支給されているお金はないそうです。

(税務上は使用人兼務役員として使用人部分と役員報酬部分の区分が難しいため、総額を役員報酬として取り扱いをしております、とのこと)

理事の就任承諾書はあるものの委任契約等はなく、理事長としては労働者と役員の区別なく何となく雇用契約書をまいたのではと思われます。

Dについては実務面でも理事長の指揮命令下にあるようですので、使用人兼務役員として雇用保険の対象になるとは思うのですが、本件のように報酬の全額を労働の対価として扱ってよいのでしょうか?

税務上は全額役員報酬として扱われているのに、実質は全額労働の対価として扱っていて雇用保険にも入っている、ということが並立するのでしょうか。

私の方でも確認が足りず雇用保険の手続きをしてしまい、税理士さんの税務と労務とで認識の擦り合わせができていない状況です。

◯菰田弁護士の回答

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