残業時間と労災について

◯事案の概要

残業が多く社員が心療内科にかかり、そのまま退職することになった。労災請求の対応もしつつ、現時点で紛争も視野に入れた交渉も必要と考えている

◯相談内容

清掃関係の事業者様ですが、この冬は出動回数が著しく、残業時間も全体的に大幅に多かったそうです。

その中で一人の労働者が精神的にまいってしまい、病院にかかりたいということで家族を通じて連絡がありました。

50名未満の事業者なので、産業医がいないものですから、産業保健センターの面接指導なども案内したのですが、結局心療内科にかかり、休職ではなく、そのまま退職をしたいということになったそうです。

ご家族からは、
①退職後も治療費については面倒をみてもらえるのか?という話と
②残業代を正しく清算してほしい という要望があったとのことでした。

ここでヒアリングをしたところ、残業代は全部が全部払えていない、一時金は担当者全員に支給をしたそうですが、おそらく正しく計算したらそれなりの金額になるのではないかと予想されます。

前述の労働者の話に戻りますが、家族に対して診断書をもらってほしいといったところ、病院から「労基様式と普通のどちらがよいか?」と聞かれたそうです。

労基様式というのは私も初めて聞いたのですが、給付請求書にかくものではないかと思われたのでまずは普通の診断書でも構わない旨お話しました。診断名および療養期間がわからないと何も判断できないかと思ったからです。

労災の請求をするべきかどうか尋ねられましたが、会社の見解として業務上によるものと断定できない中ですし、本人が請求をするということになれば別ですが、会社から先に手続きを起こさなくてもよいのでは当初考えました。

しかしながら、直近一ヶ月のおおよその時間外は170時間ほどではないかという話を聞いたので、これが確定すれば労災認定は間違いないとも思えましたので、後々に巡り巡って認定されるよりはある程度進めていった方がよいのではと考えています。

具体的には本人の意思を確認のうえ療養給付の請求書を提出するところからと思っています。(23号の提出についてはまだ考えておりません。)

起こってしまったことには真摯に対応する必要があるとは社長もお考えなのですが、監督署の臨検となると相当のダメージがあるということで苦慮されております。民間の上乗せ保険についても、あくまで労災認定されないと対応できないということも伺っています。

残業代の請求が垣間見えていますので、労災請求の対応もしつつ、現時点で紛争も視野に入れた交渉も必要ではないかと考えますが、先生のご意見をお伺いできればと存じます。

◯菰田弁護士の回答

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