古い二輪自動車を依頼通り修理したが、後から代金を返還してほしいと求められた

◯事案の概要

1980年式の古い二輪自動車を修理したところ、後輪ブレーキの利きが悪く、バイパスで運転中に死ぬかと思ったとの連絡があった。修理対応をすると伝えたが、別のところで修理した。修理代金を返金してほしいとの主張があった

◯相談内容

二輪自動車の修理に関するトラブルについて相談させてください。

相談者は二輪自動車の修理をしたお店側です。お店を甲、お客さんを乙としています。

前提として、対象となっている二輪自動車は1980年式の古いもので、甲が販売したものではありません。(乙はいわゆる一見さんのようです。)

1日 乙から甲に修理依頼の電話連絡あり
2日 乙が乗車して甲へ来店
3日 甲は修理費用の見積りをし、金額を電話で連絡(見積書は交付していないそうですが、見積書自体は存在しており、その額の通り乙にお伝えしているそうです)→乙から折り返しの連絡で見積り通りの修理を依頼されたとのこと

※その際、古い車体なので、乙の思う通りに良くなるとは限らない旨伝えてあるようです。

翌月1日 修理完了し、乙は甲店から当該二輪自動車に乗車し帰宅。その後1時間程して、乙の母親から連絡があり、後輪ブレーキの利きが悪く、バイパスで運転中に死ぬかと思ったとの連絡があった。

この点甲としては、事前に乙に説明した通りの修理は完了(引渡し前に甲側で試乗し、様子も確認されたとのこと)しており、請負契約上の仕事は完成していると考えます。また、乙は事前の見積り通りの金額を支払っています。

しかし、乙側としては状態が気になるため、交換パーツ等を乙側で準備し、再度甲店へ持ち込みした場合、交換や点検等対応可能かと話があったため、甲は対応可能と返答。近日中に自動二輪車を持ち込むとの話がありました。

12日(その後持ち込み等なく)乙側(乙の母及び祖母)から甲店に連絡があり、もう別のところで修理した。今回はそちらが修理したことで状態が悪くなったのだから、修理代金を返金してほしいとの主張があったとのこと。甲店としては後日連絡をすると伝え、現在に至っています。

甲としては、後々トラブルになっても困るので、修理工賃部分の返還を検討しているとのことでしたが、そもそも40年近く前のバイクで、常に故障等のリスクは抱えているものについて、調子が良くなったor悪くなったというのも乗る人間の感覚的な部分は大いにあるように思います。

修理工賃と一口に言っても、タンクの錆取りや、チェーンの取り換え、キャブレターの点検等行程が複数あり、どの部分まで返還する必要があるのか難しいと考えます。

甲は電話で乙の振込先口座番号等を聞き、そこに修理工賃を入金するといった対応を考えているようですが、相談を受けた側からすると、仮に返金する場合でも、今後のさらなる要求を抑えるために、合意書(覚書・和解書)等を交わしておくべきと考えています。

私としては、どうしても甲の側に立ってしまうのですが、甲側で勝手に判断し、修理したのではなく、事前にどこをどのように修理するといった説明や、修理したからといって必ず良くなるとは限らないといった説明もあり、乙もそれに納得した上で修理を進めるよう注文したのですから、仕事完成後の費用返還請求は適当ではないと考えます。

(例えば後輪ブレーキの利きが、甲店への持ち込み前と持ち込み後で変わったといったことは、乙側で証明できないはずです)

こういった場合の対応として、乙の要求を甲側はどこまで容認する必要があるものなのでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

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