「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」において休業手当が払われていない証明書の交付を行うことにつき、会社にデメリットはあるか
◯事案の概要
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について、休業手当が払われていない証明書の交付が要請される。ここで会社からは「この給付金の証明をすることで会社にデメリットはないのか」という問いが来ることが予想される
◯相談内容
厚生労働省より、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(以下支援金)につきまして公表されましたので、特にアルバイト従業員から、休業手当が払われていない証明書の交付が要請されると思われます。
一方で、クライアントより一部の懸念が表明される現状があります。
①休業手当を払うべきであるのに払っていないことが露呈され、そうするとそれは賃金不払いの労基法違反となり、刑事罰の対象ともなるのではないか?
②休業手当を払うべきであるのに払っていない場合、民法536条②により使用者は全額の賃金支払い義務も負うことが考えられる。支援金が8割の支給となっているため、あとの2割の請求をしなければならなくなるのではないか?
個人的には上記懸念はあるものの、申請に助力をするほうが良いとは考えます。これを踏まえ、「この給付金の証明(休業手当を払っていない証明)をすることで会社にデメリットはないのですか?」という問いがあることが予想されます。
これに対して、以下の回答でおかしな点はありますか?
以下、回答
労働基準法第26条(休業手当)違反が露呈される事になり、休業手当の支払命令及び労働基準法第120条による30万円以下の罰金となるということにはなっています。
しかし、厚生労働省が作成したスキームにのって証明した事業主に対して、支払い命令や刑事罰を課すことは考えられません。
一方、国が支援金を直接従業員に支払っても、民事上、会社の休業手当支払い義務は消滅しません。つまり、従業員の休業手当の請求権は消滅時効まで残ります。
しかし、すぐに貰える又は既に貰った支援金の受給権を放棄又は返還し、会社に休業手当を別途請求してくることは、会社が憎いという怨念があるなどの特段の事情がない限り、事実上はないと考えます。
逆に支援金の申請に助力をしない場合、会社に対して直ちに休業手当の請求する従業員が出る可能性があります。 したがいまして、デメリットが全くないとはいえませんが、それを上回るメリットがあると考えます。