WEB記事に関する損害賠償について

◯事案の概要

個人ブログに記載したことが誤解を呼ぶ内容となっており、ある会社が破産、倒産したようにも取れるような記事内容になっていた。このブログを知った会社から、内容証明で虚偽の記載があるとして記事の即時削除を求められたため対応したが、損害賠償請求の可能性はあるか

◯相談内容

A氏は、ブログで投資関係の記事を書いていました。そして、数年前にA氏が投資していたB社(※海外の上場企業のファンド会社です)の運営する海外ファンド商品の一つが破綻し、清算処理になりました。

当時、B社の記事を書く際に「B社のファンドが破産、倒産して、海外なのでやりとりが大変で、投資資金の回収が困難になって大変だった」といった旨を記事に記載したつもりで、誤って記事内でいくつか「ファンドが」という文言が抜けてしまいました。

そのため、「B社が破産、倒産して海外なので投資資金の回収が困難になって大変」といった表現が記事内に数か所あり、あくまで読みようによってはですが、特定のファンドではなくB社自体が破産、倒産したようにも取れるような記事内容になっていたようです。

B社が最近この記事を見つけ、弁護士を通じ、内容証明で虚偽の記載があるとして記事の即時削除を求めてきたそうです。

ただし、内容としては記事の即時削除のみで、損害賠償請求は一切求めてきていません。

Aはそもそも「B社が破産した」という記載をした認識すらなかったことから、誤りに気付き、驚いてすぐに記事を削除し、そのような記載になっていることに気づかなったこと、また即時削除した旨を弁護士に報告しました。弁護士は了解した旨だけ回答したようです。

ちなみにA氏は有名なブロガーやインフルエンサーなどではありません。ただ、コロナの影響の株価暴落で3~4月にB社が運用で大きな損失を抱えて解約が増えたことが経済ニュースになっていたようです。

なので、それを見た投資家のうちの何人かが心配になって「B社 破産」などで検索するとAの記事が上位にあがってきていて、それを見た個人投資家が「B社は破産したんですか?」とB社に問い合わせをしてきていたようで、それでB社が記事に気づいたようです。

①このようなケースでは、あくまで一般にですが、今後訴訟で損害賠償してくる予定が可能性が高いでしょうか?

根拠としては当該記事が原因で不安になった投資家からの解約が相次いだとかがありうると思いますが、個人的には投資家が有名でもない一個人のブログを見てB社(※海外ですが上場企業)が破産したと勘違いして解約して損害が出た、というのはかなり論拠が薄弱で、因果関係が乏しいと思います。

上場企業なので簡単に破綻はしないと思いますし、本当に破産したかは調べたりB社に問い合わせれば済むことですし。

また、例えば「B社が破綻して法的整理手続きに入りました!このままだと危ないので急いでB社のファンドを解約しましょう!」というような具体的な記載はないので、故意と認定まではできないのではないかと思います。この点、先生はどう思われますでしょうか。

②A氏が仮に損害賠償請求されたとすれば、一般に、どのぐらいの額を請求してくるものでしょうか?当方には、算定方法が非常に難しいように思われますが、どのように損害を計算するものでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について