ある組合の役員の就任が錯誤無効となったが、産廃許可の取消処分に不服申し立てができるか

◯事案の概要

ある組合の役員の就任が錯誤無効となった。これによって産廃許可の欠格要件に該当しなくなるが、取消処分に不服申立ができるか

◯相談内容

ある森林組合が処分を受けました。

「昨年の総会役員選任議案について、当該役員の就任については錯誤があったため、その役員の就任については無効とする。これにより、当該役員は最初から組合の理事としては存在しなかったことになり、産廃許可の欠格要件に該当することもなくなる」

これを理由に今回の取消処分には不服申立できると考えたのですが、この考え方で問題ありませんか?

◯菰田弁護士の回答

「昨年の総会役員選任議案について当該役員の就任については錯誤があったためその役員の就任については無効とする。これにより当該役員は最初から組合の理事としては存在しなかったことになり産廃許可の欠格要件該当することもなくなる」

ここまでは問題ありません。

「これを理由に今回の取消処分には不服申立できると考えたのですが」

これは難しいかもしれませんね。法的には錯誤で遡って理事ではなかったことになりますが、事実上はずっと理事だった人です。この論理で乗り越えられれば、全ての取消処分が不服申し立て可能となってしまいますので。行政は実態を優先して、取消処分は継続するのかなと思います。

◯その後の相談内容

今回の案件ですが、処分を受けた森林組合はある県の森林組合連合会に出資を行っています(10%以上)。

森林組合連合会は現在、産廃収集運搬の許可を持っていますが、森林組合が許可を取り消されたことで、連合会の許可へも取消が波及される可能性があるかについてお尋ねします。

過去の判例において、法人に対して「『支配力を有するものと認められる者』とは自然人をいうのであって」と示されていますし、こちらの10ページにおいても「自然人に限られる」とあります。

今回の森林組合については、所在地がある自治体が一番の出資者であり、誰か一人が自由に操れるような組織でもございません。以上のことから今回の森林組合の取消が連合会の許可に波及することはまずないと考えているのですが、先生のご意見をお聞かせください。

◯菰田弁護士の回答

それは気にしなくて良いと思いますよ。おっしゃるとおり自然人の問題ですし、10%しかないので、支配権を有すると評価できるほどもないですしね。