不動産と成年後見人の利益相反について

◯事案の概要

ローン申込人の父および母が共有する土地を使用貸借し、申込人が建物を建設。母親が父親の成年後見人となっている。母親が当該建物に居住する場合、母親が父親の成年後見人として担保提供行為を行うことは利益相反にあたるか

◯相談内容

住宅ローン販売代理店からの相談です。

・ローン申込人の父および母が共有する土地を使用貸借し、申込人が建物を建設します。
・父親が認知症であり、後見開始の審判を受け成年被後見人となっています。
・父親の成年後見人は母親です。

申込人:債務者
父および母:担保提供者

上記について、母親が当該建物に居住する場合、母親が父親の成年後見人として担保提供行為を行うことは利益相反にあたりますでしょうか(母親は自己が居住するという利益を享受し、そのために成年後見人として父親の担保を提供させる=これが利益相反に含まれるのか)。

居住については、以下の裁判例を見つけました。

東京控判昭和10年2月18日評論24巻民法415頁

後見人が親族会の同意を得る等何らの手続きをとることなく被後見人所有の土地を耕作することは、たとえ後見人において賃料を支払った事実があっても、右両者間に締結された暗黙の合意による賃貸借契約にすぎず、その効力は利益相反行為に該当し、絶対無効ではないが、無権代理人のなした契約として追認なき限り完全な効力を有しない。

直接の使用借人は建物所有者である申込人ですが、母親も居住するのであれば同様に考えることはできると思います。担保設定に関しては、自らの債務を担保するためではないため、利益相反行為には該当しないと考えます(参考:東京地判昭和38年8月15日下民集14巻8号1537頁)。

ですので、利益相反行為に該当するのは居住することの方ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

また、父親が居住するかは不明で、居住する場合、そうでない場合両方についてご検討いただけますでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について