問題社員が状況を認識していないまま退職勧奨を行うことについて

◯事案の概要

入社以来、Tと他事業の職員とのトラブルが頻発しているため、配置転換を検討後退職勧奨を行ったが、Tはトラブルや不仲を否定。その後神経衰弱状態との診断書を提出した

◯相談内容

解雇に関する事案についてご相談がございます。
福祉事業を行っている社会福祉法人からの相談です。問題となる職員は常勤で男性(以下「T」という)です。以下、これまでの経緯です。

入社以来、Tと他事業の職員とのトラブルが頻発、所属している部署の管理者とも折り合いが悪い。指導という改まったものではないが、事あるごとに注意や改善してもらいたいことは管理者等から伝えてきた経緯がある。

理事長はTの配置転換を検討。しかし、他の事業責任者は受け入れを拒み転換先がない状況だったため、Tの進退をめぐって話し合いを重ねていた。結果、Tの考え方や行動が当事業所に悪影響を及ぼしていると判断し、退職勧奨を行った。
  
私がTとの面談を行ったところ、Tは、管理者と折り合いは悪くないし、他部署の職員とも仲良くしていると発言。今日も業務連絡で管理者とラインしたことを話し、これからも勤務継続することに何ら支障はないことを述べた。

Tは、自身がなぜ解雇を申し渡されなければならないのかが理解できていない様子。ただ、解雇といわれたことが悲しいとしきりに言った。他事業の責任者がTを受け入れたくないと言っていることは、客観的な評価であるといえるが、これに対しては、「わからない」との返答しか得られなかった。

Tは診断書(診断名:神経衰弱状態、1週間の自宅療養の必要性を認める内容)を事業所に提出。

簡単ではありますが、以上となります。

①Tに退職勧奨を行った後、管理者が当該事業所の個別支援計画書が作成されないまま請求業務が行われていたことを理事長に報告。理事・監事会を開き、
県庁に報告、相談を行っています。

Tは不正請求の当事者です。Tはサービス管理責任者で、個別支援計画書の作成義務がありますが、管理者から作成するよう言われたことはないことを主張しています。

退職勧奨を行った後に発覚したことから、解雇に関しては、懲戒解雇ではなく、あくまでも普通解雇で進めることとしております。不正請求に関する事実はどのように考えたらよろしいでしょうか。

②この事案で、Tは周囲の評価等を全く受け入れておらず(むしろ、認識していない様子。異常な感じを受けました)、理事長が提示する解雇理由は身に覚えのないことのように主張しておりますが、解雇は妥当といえますでしょうか。

なお、配置転換できない事由について、これまで起こった事実を報告していただくよう他事業所の責任者に依頼しています。

③本人が診断書を提出してきましたが、今後、労災認定となる可能性はありますでしょうか。これまで、通院歴はありませんし、パワハラが行われた事実はありません。理事長から解雇を言い渡され、それ以降、精神的につらい状況であるのは事実です。

④Tが弁護士に依頼した場合、不当解雇で争うことと思いますが、その他の可能性はありますでしょうか。また、事業所が裁判に負ける可能性は高いでしょうか。

⑤現時点で対策として行っておいた方がよいことがございましたらご教示いただけますと幸いです。

◯菰田弁護士の回答

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