依頼を途中でキャンセルし、着手金の返金を要求する依頼人への対応について

◯事案の概要

外国人Aから在留資格の申請を依頼され、着手金も支払われたが、話が2転3転し、何度も打ち合わせや調査、資料の精査等々を行い、振り回され、合計20時間程度時間を要した。その後自己申請したので着手金を返してほしいと要求され、弁護士を通じて返金の請求が行われている

◯相談内容

外国人Aから在留資格の申請を依頼され、着手金も支払われました。その後、話が2転3転し、何度も打ち合わせや調査、資料の精査等々を行い、振り回され、合計20時間程度時間を要しました。

その後、Aは私に連絡なく自分で申請を行いました。その後事務所に来て、自分で申請したから着手金を返してほしいと言ってきました。

私は、確かに申請代行はしていないが、打ち合わせや調査等でかなり時間を要していること、また申込書に着手金は一切の理由を問わず返金できないと記載されていることから申し訳ないが返金はできないこと。

ただし今後ももちろん引き続き相談は受け付ける旨を伝えました。その時は恐らくしぶしぶですが納得して帰りました。

その後、Aは友人に法テラスを紹介され、B弁護士を通じ、B弁護士からのFAXで「依頼者は『貴殿は何も仕事をしていないため、着手を返してほしい』と申している」と言ってきました。

私は一部であれば返金をしてもいいから、一度事務所に来て相談してください、といったところ、Aはすぐにでも行きます!とのこと。そして来所のため相談の予約を取りました。

その後、AはB弁護士と再度相談し、弁護士に説得されたようで、再度電話をしてきて「相談はキャンセルするから弁護士と私で相談して返金額を決めてほしい、自分は弁護士の先生と私の合意した額でいい」と言ってきました。

そして、弁護士は申請していない以上は返すべきだ、また受領した着手金を返金できないという内容の規定は消費者契約法10条に違反する、と言ってきました。

私は、今までの経緯を話し、結構な時間を要していること、着手金を返金できないという内容の規定は解釈上消費者契約法10条に違反しないと思うこと、また事前に着手金は返金できない旨しっかり説明し、了解の上署名をもらっていることから、法的に返金の義務はないと考えている、ただしどうしてもというなら3万円ぐらいは返してもいいと言いました。

そしてここでいったん保留となっています。

私としては、今後1回本人と話をしてすぐに2、3万円返すぐらいならいいと思っています。ただし、もともとプロボノ案件として、人権保障のためと思い、安い金額で大変な案件を受けたので、さらに追い打ちで弁護士が自分の報酬をねん出するため全額や大半を返せといわれたらさすがに困ります。

一方、弁護士の主張する「着手金は一切返金できないという規定が消費者契約法10条に違反する(消費者に一方的に不利益となる)」という主張は納得できません。

長くなりましたが、質問としては以下の2点です。

①弁護士の上記の消費者契約法違反の主張が認められる可能性はあるのか、また消費者契約法違反の主張が認められにくいような上手な記載方法はないのか

(※参考までに、普通は着手金は返金しないという規定は入れていません。ただ外国人案件の場合、勝手に自由にキャンセルしてくるケースが時々あるので、相手により着手金は返金しないという明確な規定をあえてリスクヘッジのために入れています。そのため、文言を緩やかにすることはかなり難しいです)

②全額返せと言ってきた場合に、先生ならどうするのか

・返さない
・一部返す
・全部返す
・その他の対応方法をとる

等が考えられますが、どのような対応が適切と思われますか?

ちなみに私は上記の通り、1回の話し合いの短期であれば一部返金、弁護士が執拗に半金以上を請求してきたらゆるやかに返さない方に傾くと思います。ただ、一部返金だと短期でも弁護士の報酬もほとんどないと思われ、弁護士も引くに引けないのかなと思います。

正直、こんな細かい話は面倒ですし、本人が事務所に来たらかわいそうなので、一部返金してその場で覚書を書いてすべて終わりにしようと思っていたのですが、弁護士が出てきて問題を掘り返してきたので、何だか悔しい思いです。

◯菰田弁護士の回答

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