道路運送法上の旅客自動車運送事業の有償性の判断について

◯事案の概要

X社(旅行業者)のAというホテルからY社のBというホテルへ送客するための送迎バスを走らせたいと考えている。このときバスの提供は道路運送法上の許可を取得していないY社が行うが、以下の事実を総合したときにY社提供の送迎バスが道路運送法上違法行為となるか

◯相談内容

大きく分けて【A】と【B】の2つの検討事案があります。

【A】道路運送法上の旅客自動車運送事業の有償性の判断について

  • X社(旅行業者)のAというホテルからY社のBというホテルへ送客するための送迎バスを走らせたい
  • バスの提供は、道路運送法上の許可を取得していないY社が行う
  • X社は、X社が主催するBホテルで実施されるアクティビティツアーの送迎のために、Y社提供のバスを利用する
  • 送迎バス提供の対価として、X社からY社に対して報酬が支払われる
  • ツアー参加者はY社に対しての支払いは無いが、X社のツアー料金に送迎バスの利用料が含まれている

道路運送法上、「旅客自動車運送事業」にあたるものとして①他人の需要に応じ②有償で③自動車を使用して④旅客を運送する⑤事業と規定されています(同法第2条第3項)。

この「②有償」の判断について、バスやタクシーの利用者が運転手に料金を支払うことは当然に該当しますが、運送サービスを直接利用していない第三者が支払うことも、有償に該当するのかどうかというところです。

まず、有償であってもいわゆるガソリン代等の「実費負担」であれば料金を受け取っても問題は無い旨、国土交通省からの通達が出ています。
http://www.mlit.go.jp/common/001231103.pdf

⇒1.(3)に記載あり。主に法78条79条の話ですが、文中で法4条(バスやタクシー)の許可にも言及しているので、解釈が及ぶものとして見ています。

また、こちらは正確な文献等を見つけられていないのですが、2015年の「みんなのUBER」への国交省の行政指導では、

・車両の利用者は無償
・UBER社からドライバーへガソリン代のほか、実証実験データ提供の対価を支払っていた

という事案で、この実証実験データ提供の対価がいわゆる運転行為の対価としてみられ、有償性があるので道路運送法上違法に当たるため中止の指導が入ったと記憶しています。

であれば、今回の事案に当てはめていくと、X社からY社への支払いで、送迎バスを走行させるために必要な最低限の実費(ガソリン代や駐車場代)の支払いのみであれば、Y社は道路運送法上の許可が不要と解釈できる余地があり、実費以上の金額をX社がY社に支払うと、同許可が必要になってくるという認識でおります。

【B】
上記と関連して、前提(5)がツアー実施時のみの運行ではなく、いわゆるシャトルバスのようにAB間を定期運行している場合は、どうなるでしょうか。

個人的には【A】と同じで、X社がY社に対して実費負担をするのは許可不要と解釈できる余地あり、実費以上の金額をY社に支払うと、許可が必要、となる認識でいます。

背景としては、Y社提供の送迎バスが道路運送法上違法行為となると、X社が当該送迎バスを利用すると違法行為に加担したことになり、旅行業法上の違反行為となり登録取り消し対象となる、ということで旅行業登録をしているX社からの問い合わせです。

◯菰田弁護士の回答

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