使用貸借と借地借家法
◯事案の概要
Aの所有する土地にB所有の未登記の建物があった。土地は当時の地主から「Bのご家族一代のみ住居を建築して住んでよい」として、口約束、かつ無償で借りていたとのこと。この状況で、建物の表題登記をすることで借地借家法10条1項の借地権の対抗力を第三者に対抗することは意味があるか
◯相談内容
Aの所有する土地にB所有の建物があり、この建物の登記が未登記でした。Bが土地の登記簿を調査したところ、土地の所有権がAよりCへ移転しており、自分の建物が未登記であった事が判明しました。
Bの証言では、約40~50年以上前に、土地の地主より「Bさんのご家族一代のみ、生活の為に住居を建築して住んで構わない」と口約束、かつ無償でお借りしていたとのことです。土地の所有者Aは、この地主の孫にあたる方で、土地所有者Cは、Aの身内ではない第三者となります。
Bは弁護士事務所にご相談に行き「上記の状況で、自分の所有する建物の表題登記をすることで、借地借家法10条1項の借地権の対抗力を第三者に対抗することができるか?」と相談をしたら「建物表題登記等をすることは意味がない」との回答を受けたそうです。
Bは、意味がなくても自分が苦労して建てて住んでいる建物なので、建物表題登記と所有権保存登記をしたいとのことで建物表題登記のご相談がありました。
上記の状況で、借地借家法10条1項の規定は、意味がないことなのでしょうか?土地家屋調査士としては、未登記建物も多く存在しておる状況でもありますので、借地借家法10条1項の規定の意味がないとは考えにくいと判断しております。
ただ、Bは、今後Cより立ち退きの話が来る可能性もあるかもしれないので、意味があろうがなかろうが建物の登記をする意思があるとのことなので、建物表題登記については、所有者の申請の意思があれば実施する予定で考えております。