オーバーステイの派遣社員を受け入れていた会社の対応について
◯事案の概要
派遣社員として雇用している外国人がオーバーステイとなっていた。まだ警察には見つかっていないが、今後どのように対応すれば良いか
◯相談内容
今回の相談者は、まだ摘発されていないオーバーステイ者を受け入れていた会社(A社)からです。まだ警察等には見つかっていない状況です。A社はベトナム人の技能実習生も雇用しています。
本日晩にその会社の顧問社労士と共に伺い面談する予定です。現時点で以下の点を伝えています。
- 再度全員の在留カード、パスポート(指定書も含めて)、免許証の原本を大至急確認する(少なくとも私が行くときにはそれらの原本を確認させてもらう)
- オーバーステイが明らかな1名については出勤停止させ、派遣元に対応させる
- 可能なら全員即出勤停止
- 今日の確認後にはなるがその派遣元からの外国人社員はすべて打ち切りとする
- 今後派遣先への家宅捜査の可能性も高いので顧問弁護士にも対応してもらう
なお今回の派遣社員も、派遣ではなく請負で契約している可能性があるのではないかと考えています。(自社防衛のために)このケースでアドバイスいただきたい点は、派遣先としてどのような対応が必要かという点です。
派遣先としては在留カードの確認等は難しいところもあります。知らなかった、在留期限等確認していなかった、という場合、違反に問われないかもという認識があります。
- 直接的に入管法73条の2の各号に当てはまらないように思えるが(派遣先なので)、警察はそんなこと関係なくとりあえず摘発してくるだろう
- 仮に上記派遣会社が請負で契約している場合は、派遣先の責任はさらに重くなる可能性がある
- 派遣元会社の社長はまだ捕まっていない
ということで、加えて
- 大至急当該オーバーステイ者を警察に出頭させる(少なくとも会社は警察に連絡する)
- 派遣受け入れの経緯等を徹底的に調査し、警察等に書面で説明できる準備を大至急行う
- 技能実習法上の対応も必要(技能実習法39条3項、技能実習法施行規則52条2号)
なども含めて今後の対応について説明する予定です。
この警察への連絡ですが、連絡した場合以下の2つの流れが考えられます。
- 会社も即被疑者扱い
- 警察から当該オーバーステイ者について「もう少し泳がすように」などの協力要請がある(後者の可能性があると考えるのは、派遣元の社長がまだ逮捕されていないためです。おそらく泳がされているのではないかと予想しています。)
この警察への連絡はかなり慎重に判断する必要があるかと思いますので、弁護士に関与してもらった方がいいと思っています。前者にならないようにするためにどのような形で警察へ連絡するとよいでしょうか?(今日同席予定のA社の弁護士にどのように伝えることができるか)
個人的には以下のように考えています。
- 採用の経緯等において「過失」がなかったといえることを基礎付ける事情を精査し警察への連絡の際に同時に報告できるようにする
- 技能実習法に基づく対応については、監理団体担当者に打合せに同席してもらい、臨時監査(技能実習法39条3項、技能実習法施行規則52条2号)→機構への報告(技能実習法42条)
この準備をしてもらう予定です。