借用書のない出資金や貸付金を回収したい
◯事案の概要
役員にも株主にもなっていないものの、会社を設立するために出資し、その後も数千万の貸し付けを行うなどして経営に関わっていた人がいる。しかし、経営者がその人を排除して一人で会社を経営したいと言い始め、貸付金についても借りていないと主張している。借用書も作成していないため、客観的な貸し付けの証拠に乏しい状態だが、貸付金を回収できる見込があるか
◯相談内容
A社は、BがCに出資金500万円分を貸付し、Cがこれを全額出資し設立した会社です。株主、役員はCのみです。Bは役員になりたくないので、従業員として給与を受け取っています。
会社設立後もBはA社に事業のための資金を提供し、貸付金は2,000万以上になっています。この長期借入金は毎年貸借対照表に載っています。
しかし、突然Cが法人印を持ち出し、会社は自分一人でやると言い出しました。Bは本当は一緒に会社を続けたいと考えていますが、そこまで言うのであれば、今まで貸し付けた資金を少しずつでも返済してほしいと伝えました。
しかし、Cは「借りた覚えはない、知らない」と言い張っています。Bは上記につき、借用書等一切作成していません。
会社に借入金があることは決算書上明確ですが、契約書がなく、これをCが会社に貸したという証明が難しくて困っています。証拠と言っても、親しい取引先等の証人は何人かいるのですが、何分客観的な証拠に乏しい状況です。
なお、会社に財産(貸し付けた額以上の預金や仕入れ物品等)はあるので、裁判に勝ちさえすれば、執行、回収はできそうな状況です。
私見では状況が非常に厳しくて、正直どうしたらいいのかわかりませんが、このような場合、弁護士であれば、回収方法をどのように考えるのでしょうか。仮処分等を申し立てたとして、何か意味があるのか等、ご指導いただければ幸いです。