競売で落札した建物を買受人が代金納付前にリフォームした
◯事案の概要
競売手続きで建物一室の最高価買受人となったあと、代金納付前に玄関の鍵を交換した。代金納付期日前までに裁判所がこの事実を確認し、違法な行為として何らかの問題が生じるのではないか
◯相談内容
不動産の競売についてご教授下さい。
区分建物1室の競売手続きにおきまして、買受人(最高価買受申出人)となった者(不動産業者A)が、代金納付前に、競売物件のリフォームを始めてしまいました。
現況調査報告書に「所有者(債務者)は死亡。相続人が動産類をすべて処分し、現況は空室。」と記載があるのを見て、Aが勝手に判断し、カギを交換してしまったとのことです。(実際、室内にモノは無かったそうです。)
- 入札
- Aが最高価買受人となる。
- Aがカギを勝手に交換し、内装工事を始める
- 売却許可決定
- 工事継続中
- 代金納付期日が到来
という状況です。
今般、代金納付と同時に融資を実行して抵当権設定登記(民事執行法82条2項)を行う予定ですが、抵当権者(ファイナンス会社B)より、融資を実行して問題ないのだろうかとの問い合わせがあり、ご相談申し上げた次第です。
- 代金を納付するまでは所有権は所有者(の相続人)にあり、また、代金を納付したとしても占有権は旧所有者(の相続人)にあるため、違法な行為
- 本来であれば、代金納付→引渡命令を申立て、執行官に開錠してもらうべき
- 所有者(相続人)から損害賠償請求を受ける可能性がある
- ただ、裁判所が現況を確認することはおそらく無いので、代金納付はこのままできてしまうのではないか
- 所有権が移転すれば、事実上、異を唱える人はいないのではないか
というのが私とBの担当者の考えですが、
- 実際、裁判所が代金納付期日までに現況を確認することはないのでしょうか。
- 代金納付前に、裁判所がこの行為を把握した場合、売却許可の取消しとなることはあり得ますでしょうか。
- また、代金納付後に裁判所が把握した場合、売却許可の取消しとなることはあり得ますでしょうか。(代金納付後に物件の損壊が発覚した場合に、買受人側の救済措置としての許可取消しはあり得ると存じますが、裁判所側からの取消しもあり得るのでしょうか。)
以上の点につきまして、ご教授いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。