賃貸不動産における貸主の義務と責任の範囲、借主の善管注意義務について

◯事案の概要

賃借人が引き戸を開けたまま一年間放置し、引き戸を閉めたところ建てつけが悪くなっており、引き戸が倒れてきて窓とPCが損壊した。この場合、賃貸人に修繕義務があるのか。また、この件について不動産会社として賃借人と交渉を行うことは非弁行為にあたるか

◯相談内容

以下、2点質問させて頂きます。

①賃貸不動産における貸主の義務と責任の範囲、借主の善管注意義務について

築30年程の賃貸マンションに入居した賃借人が、賃貸物件内の引き戸を入居後1年間一度も開け閉めすることなく、引き戸を開けて(片側に寄せた状態)生活していた。今年の冬に寒かったので始めて引き戸を閉めたところ、建てつけが悪くなっており、引き戸が倒れてきて引き戸のガラスは割れ、部屋に置いてあったパソコンが壊れたということがありました。

後日、連絡があって室内を確認したところ、確かに引き戸を閉めていくと上部のレール(つっかえ)の部分との隙間が段々と大きくなり、引き戸を閉めた状態では扉が自立することはできない状態で、倒れるのは仕方ないとすぐに分かる状態でした。

ここで問題となるのは、レールと戸の隙間がいつから空いていたものなのか?ということです。当然、引き戸は日常的には閉めた状態で使用することが前提のものなので、一年間開けっ放しにしたことで隙間が広がった可能性があります。

もう一つは、今回、初めて引き戸を閉めた(と賃借人は言っている)段階で隙間が広がっており、当然に戸が倒れてくるのは想定できたことです。

隙間が広がったことによる引き戸の不具合そのものに対する対応は、賃貸人の修繕義務だと考えますが、1年間引き戸を開け閉めしなかったことと、閉めた段階で異常に気づいたにもかかわらず、賃貸人に報告をしないで放置したことによる損害(ガラスが割れたこととパソコンが壊れたこと)は、賃借人の責めに帰すべきと考えますがいかがでしょうか?

②不動産会社として、上記案件の対応をするとした場合、単なる賃貸契約の仲介としての立場ではそもそもなんの権限もないため、賃貸人側について話をすると非弁行為にも該当すると考えます。

この点と、賃貸人との間で新たに賃貸不動産の管理委託契約を締結した場合、どこまでの範囲で交渉が可能となるのでしょうか?貸主を代理する立場で裁判外の交渉まで可能なのでしょうか?単なる使者にとどまるのでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

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