中国に派遣された社員は中国に確定申告・納税義務があるか

◯事案の概要

中国に日本人を派遣している派遣会社があるが、中国の個人所得税は企業に源泉義務があるか。また、各社員は中国で確定申告をし、個人所得税を支払う必要があるか

◯相談内容

SEの派遣会社で、顧客の都合で中国法人にも一部日本人を派遣していますが、派遣先の中国法人から、派遣している社員の給与明細の提出を求められています。ただ、派遣会社は給与を知られたくないと考えています。

派遣元の会社の社長からは、「そもそも派遣先の中国法人と何の雇用契約もないのに、どうして個人所得税を中国に支払い、尚且つ確定申告などをする必要があるのか」「このような事案は法的にNGではないか」という相談を受けています。

このことについて、個人的な見解としてはこう考えています。
・期間が長いと派遣先の中国法人が顧客先の事業所を判断されるリスクがあって、派遣先の中国法人が課税されないようにするためではないか
・NGというよりも、派遣先の中国法人がこれを利用してマージン率を知りたいのではないか。こういった方法をとれば派遣先の中国法人もリスクはないし、御社もマージンを知られることもない。

このように回答したいのですが、企業に中国の個人所得税の源泉徴収義務はありますか?

派遣先がPEであれば、個人所得税の源泉徴収義務者となるかと思いますが、源泉所得税を徴収していないとすれば、追徴されるリスクが生じることになります。そのため、これをつぶすためにやっていると考えられます。そのため、「個人が源泉義務者を通さずに申告が可能か」ということと「申告した証明の提出により、給与額の想定が可能となってしまうか」ということが分かれば、クリアになるのではと考えています。

仮に派遣社員が中国で確定申告しなかった場合、中国当局が派遣先の中国法人に源泉分の請求をすることはないという理解で合っているでしょうか。日本の源泉税のように、源泉義務者に強い課税を課する根拠はないということでしょうか。もし課税されないのなら、マージン暴露リスクだけなので対応できそうです。

※PE課税:国内にPE(恒久的施設)を持たない外国法人は、事業の所得に関する源泉所得税や法人税が非課税となる制度

◯菰田弁護士の回答

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