有期雇用労働者の産休中雇止め・育休取得対象者除外について

◯事案の概要

1年有期契約職員は入職後数カ月して妊娠が分かり院長に報告。産後休業の途中で満了日を迎えることになる。Aは仕事もできず反抗的なので、契約期間が満了したらやめてほしいと考えているが、Aが更新を希望した場合は雇止めが難しいのではないか

◯相談内容

・1年有期契約職員(フルタイム勤務)Aは入職後数カ月して妊娠が分かり院長に報告⇒院長は顧問税理士Bに、産休や育休について本人へ説明するよう依頼(このBは今は契約解除されています)
⇒Bがクリニックに出向き、院長及び本人に向けて産休育休制度について説明
⇒後日、AからBへ直接「いつから産休取れるか?手当はいつから出るか?」との問合せ

2.Aの出産予定日等(だれも正確に把握していない)
産後休業の途中で満了日を迎えることになる

3.院長およびその他職員の考えていること
・Aは仕事もできず反抗的なので、契約期間が満了したらやめてほしい
・産休とか育休を取りたがっているなら、取ってもらえばいい。
・もし子供が1歳まで育休取らせないといけないのなら、育休終わって1日だけ出勤してもらってそれで辞めてもらおう。

■産後休業中の雇止めについて

・Aの雇用契約書をみると、契約期間の欄は「期間の定めあり(1年)※労使双方支障のない限り、更新するものとする。」と書かれていて、期間の始期も終期も明示ありません。

⇒更新実績はありませんが、満了日が明記されていないことと、自動更新のような文言が「更新の期待あり」とも捉えられるため、Aが更新を希望した場合は雇止めが難しいのでは?ましてや産休中の雇止めなので、余計に厳しいのでは?

⇒仮に雇止めできない場合、更新と合わせて育休の申し出もされると、契約更新+育休となり、育休明けに復帰させることになるのでは。

復帰後、次の契約満了時に雇止めすることができるのか?子を養育する者の保護という観点から、通常の雇止めより厳しく判断されるということはあるか?

以上を懸念すると、そもそも育休の対象者からAを除外できるのかという観点に思い至りました。

■有期雇用労働者の育児休業対象除外について

・もともとこのクリニックには育児介護休業規程がなく、1年未満の有期雇用労働者を労使協定で除外するという規定もありません。

⇒育休申し出時までに(出産までに)育児介護休業規程を整備し、1年未満有期を除外する労使協定を結べば、Aは育休対象者から除外されるのか。
⇒この点、1月の段階でBからAに対し、産休や育休の制度を説明したことは何か影響ありますでしょうか?たとえば「事業主としては育休を取得させる意思があった」とみなされ、のちの育児介護休業規程や労使協定はAには効力がなくなる等。

■今のところ当方で考えている提案

①今月中に育児介護休業規程を作成・届出・周知し、同時に1年未満の有期雇用労働者を育休対象者から除外する旨の労使協定を締結する。

②常勤スタッフ全員分の雇用契約書を巻き直し、Aの雇用契約書も「期間の定めあり」と明記したものに一新する。(この場合、始期は実際の雇用開始日に遡るのか・調印日などにするのかいかがでしょう?)

③Aが産休に入り、契約満了日で更新せず契約終了。(Aが更新の期待ありとして更新を求めてきた場合に雇止めはどの程度困難でしょうか?)

◯菰田弁護士の回答

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