養子縁組と死後離縁
◯事案の概要
養子縁組を提出して3時間後に養親が亡くなった。養子は養子縁組届の提出を後悔しており、死後離縁を望んでいる
◯相談内容
遺言書作成後に養子縁組を締結すると、遺言書の内容と抵触するのか?
(1)概要
被相続人に直系卑属は存在せず、直系尊属はすでに亡くなっています。
推定相続人は、姉と亡き兄の子どもの2人でした。
被相続人は公正証書遺言を作成しており、遺言書の内容は推定相続人である姉に全財産を相続させる旨の記載でした。
遺言書作成後、体調を崩しがちになった被相続人は、姉の子ども(甥と姪)に最後を看取ってほしいと養子縁組を提案しました。
被相続人が病院に入院することになったので、安心させるため市役所で養子縁組届を提出してから病院に向かいました。ところが、病院到着後すぐに被相続人が亡くなりました。養子縁組を提出して3時間後に亡くなったとのことです。
(2)疑問点
養子縁組により姉は相続人ではなくなるが、相続させる旨の遺言書の効力はどうなるのか?
①相続ではなく姉への遺贈と判断される
②遺贈とは判断されないが、養子が相続放棄すると遺言書の文言どおり姉が相続できる
③養子縁組を結んだことにより遺言書の内容は撤回とみなされる
ちなみに、姉の子ども(甥・姪)は養子縁組届の提出を後悔しており、一刻も早く養子縁組を解消(死後離縁)したいと望んでいます。
※成人同士の養子縁組で苗字が変わると知らなかった。
※養子縁組届を提出しても自分たちの母親(被相続人の姉)が相続できると思っていた。