育児休業法の改正に関する相談

◯事案の概要

育児休業適用の対象者(期間雇用者1年未満の者)について、4月1日に労使協定を再締結しないと、例外なく当該者の育休申し出を拒否できないか

◯相談内容

・令和2年3月を始期とした改正前における一般的な内容の労使協定(以下「旧協定」とします)が存在し、1年ごと自動更新としていた。

つまり法改正法前対応の旧労使協定においては、雇用形態の限定はなく、「従業員」を主語にしており、全労働者を対象として勤続1年未満を一律除外していた。つまり形式上、旧労使協定は生きている状況。

結果的に、法で除外されていた期間雇用者を、労使協定により二重で除外していた。

・4月以降を始期とした新たな労使協定は存在していない。

【契機】
・先日、1年未満の期間雇用者から育児休業の申し出があり、拒否方針を労働局へ確認したところ、旧協定を根拠に育休拒否はできず、新たな労使協定の締結が必要との回答を受けた。

・相談を受けた当方は、労働局及び厚労省に電話確認したところ、上記同様の回答。根拠としては、
「包括的に法改正前の労使協定で除外しており、4月1日以降に有効期間が存在していたとしても、従来は労使協定なく適用除外できていたところ、法改正により労使協定によってのみ除外できることとなったのだから、ルールが変わった以上、改めて労使協議が必要」(厚労省見解)との理由。

【具体的なご相談】
①旧協定が形式上残っており、法規定以上、4月1日以降を始期とした新たな労使協定の締結をしないと育休自体拒否できないとは到底解釈できないと認識しておりますが、先生の見解をお伺いしたいです。

②重複しますが、旧労使協定の有効性について協定そのものが無効になるわけではないことは、厚労省も認めているところで、となると、全従業員を対象とした労使協定は、正社員部分だけが改正育休法により無効になるだけで、改正法で許容される内容は残るとの認識なのですが、先生の見解をお伺いしたいです。

③新たに労使協定を締結が必要な方針に従うとしても、期間雇用者の労働条件だけを見れば、旧労使協定と内容は全く変わらないと思われます。

法改正の認識がない中で、労使協定を締結することが新たに労使協定を締結する理由となるならば、毎年3月に自動更新していることが、労働者代表が法改正の内容を認識した上で、新たに労使協定を締結との解釈余地があると考えましたが、いかがでしょうか。

この点、少なくとも労働局は自動更新では、新たに労使協定を締結したとは言えないとの回答でした。

④先生の見解としても、当方と大きくかけ離れていない場合、当方ができるアクションとしては、労働局ないし厚労省へ文書による照会をかけるしかないのですが、本件に限らず、明らかに行政の運用が間違っていると判断された場合、どのような対応を取っていかれますでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について