合同会社の持分譲渡にかかる税務について

◯事案の概要

夫が5万円、妻が495万円出資し、資本金500万円で会社を設立。離婚をすることになり、妻の出資した495万円を妻に払うことで合意したが、黒字が長く続いたことから、持分の評価額が当初の3倍以上となっている

◯相談内容

A(夫)とB(妻)は夫が5万円、妻が495万円出資し、資本金500万円で、2人で会社を設立しました。代表社員はB(妻)で、A(夫)は業務執行社員です。

事業は共同でそれぞれが複数の小さな事業を行い、売上としての貢献度は夫:妻で9:1で、主に夫の売上が順調で、ずっと黒字決算だったようです。

ただ、今回諸事情でABは離婚することになり、下記の点で合意しています。

・夫は代表社員となり、妻の出資した495万円を妻に払うこと

・妻は代表社員も業務執行社員もすべてやめて今の会社とは別で独立して仕事をする。但し、出資した495万円だけ何らかの形で返してもらいたい

ここで、妻が財産分与として出資持分を夫に譲渡し、夫が495万円払うだけで終わるのあれば、お互い特に問題はありません。ただ、黒字が長く続いたことから、持分の評価額が当初の3倍以上になるようです。

今回、夫側にとっては財産分与を受ける側であり、いずれにしても通常贈与税はかからないので、私も税務上大きな問題はないと考えております。

一方、財産分与を行う妻側は現金の財産分与であれば、税金はかからないのですが、今回は、財産分与として合同会社の出資持分を譲渡するので、出資持分の評価額を株式に準じて例えば約3倍の1500万円と計算すると、財産分与として持分を全部譲渡した場合、形式上、持分の譲渡所得税1500万−500万=1000万の約20%=約200万円の税金が課されてしまうように思います。

①この場合、税負担を避けるためには、今後持分評価額を引き下げる対策をとりつつ、贈与税のかからない110万円の範囲で少しずつ夫に持分を譲渡する(+大きな赤字が出た時に多めに譲渡する)などの方法しかないものでしょうか。

円満離婚でお互い協力的ではあるのですが、財産分与でお互い合意できていて、持分譲渡で儲かったわけではないのに税金がかかるのが納得できないようですので、税負担を避けられるような財産分与の方法についてのアドバイスがあればお願いいたします。

課税を避けるため、離婚協議書への記載の文言を工夫する方法により、この税金を支払わずに済む形を取りうるでしょうか?また、この場合の記載方法としては、

a 妻は財産分与として○○の出資持分全部を夫に譲渡する。夫は財産分与として妻に495万円(※ないし500万円程度)を払う

b 妻は財産分与として○○の出資持分全部を夫に譲渡する。夫は左記出資持分の譲渡にかかる対価として妻に495万円を払う

上記aのように記載した場合、妻は1500万円程度で譲渡したとみなされて譲渡所得税がかかり、夫に贈与税はかからないかと思います。

一方、例えば、bのような記載をした場合ですが、

②妻は持分を低額譲渡したことになりますが、評価額より安い価格での譲渡なので譲渡所得税はかからず、夫は通常の取引では著しく低い価額で取得した場合として差額につきみなし贈与課税がなされる可能性があるが、財産分与だからみなし贈与課税がなされない、というように解することは無理がありますでしょうか?

もしくは、財産分与とは切り離して、通常の譲渡として持分譲渡契約書を用いて495万円で譲渡し、将来もし税務調査などがあれば、時価としての計算では非上場の小さい企業なので譲渡額は妥当であり、「著しく低い価格」とは言えない、という反論をするようなスタンスのほうがいいのでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

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