有期雇用契約下での試用期間の定めは有効か

◯事案の概要

有期雇用契約下での試用期間の定めは有効か。法律上は有効でも、実務上問題になる点はないか。

◯相談内容

クリニックの雇用契約書でよく見かけるのですが、常勤・パートともに「1年有期雇用契約」なのに「3か月試用期間」がついていることがあります。(さらに延長で6か月も。院長的には無期雇用の予定だが労働条件変更しやすいようとりあえず有期という程度)

【当方の考えと質問】
当方は就業規則作成の段階で関与します。
採用時は有期1年+2回更新の間に正社員転換という流れを提案するとして、

①1年有期の中に3か月(さらに延長して合計6か月)の試用期間を設定してよいのか。

⇒試用期間は解約権留保付契約とすると、試用期間満了時の本採用拒否は労契法17条と競合するのでは。
⇒有期雇用契約の中に試用期間を定めることは無効?
⇒無効であれば、
・今後採用する人の労働契約は1年有期(試用期間なし)とし、
・就業規則は「正職員用(無期転換後含む)には試用期間あり」「有期契約者用には試用期間なし」で作成。

②仮に①が無効でない場合、実務上のちの紛争時に問題となる点はあるか。

⇒上記を禁じる法令や判例は見つけられませんでしたが、
・労契法17条により、試用期間満了後の本採用拒否は無期契約の人よりもハードルが上がる。
・そもそも無期雇用を前提とした制度を設けることで実質的な無期契約とみなされ、労働者が旧条件での更新を求めた場合は労契法19条により更新拒絶できず、1年有期のメリットはない。
⇒「本採用拒否しづらいので、有期契約中の試用期間の定めは心理的効果程度しかない」ことを説明しつつ、
・今後の労働契約でも1年有期+うち3か月試用期間の定めを継続(院長が望めば)
・就業規則では「正職員用(無期転換後の人)」「有期契約者用」ともに試用期間ありで作成。

本なども調べたのですが、期間雇用を試用期間扱いにする件への説明はあったものの、有期の中の試用期間については見つけられませんでした。

◯菰田弁護士の回答

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