株式移転登記の手続きについて

◯事案の概要

3社の全株式を出資して子会社化し、新しく株式移転登記の方法で株式会社を設立する。株式会社Aのみ登記簿上株券発行会社となっている

◯相談内容

株式会社A、B、C(3社、非上場会社)があり、この3社の全株式を出資して子会社化し、新しく株式移転登記の方法で株式会社D(親会社、ホールディングス会社)を設立する予定です。

ここで3社のうち、株式会社A(Dに代取として就任予定のE社長が、設立時からずっと100%株主で代取でもある)だけが登記簿上、「株券発行会社」です。新株予約権はありません。

E社長は手元にA社の株券はなく、発行した覚えはないようですが、株券を発行したかどうかは現在調査中です。

登記まであまり時間がないので、株券廃止のための公告をしていては間に合いませんし、時間ロスを避ける方法を検討しています。そこで、以下の場合においてこの手続き方法で理解が正しいか回答をお願いいたします。

①株券発行がそもそもない場合

A社がE社長に対し、定款の定めに従い、株主総会の通知をして、株主総会を開催し、株券廃止の登記をする。

株券廃止の登記は株主総会議事録を添えて株式移転登記日の日と同日、もしくはそれ以前に行うことが必要。但し公告は不要。

株券廃止の登記は株式移転による設立登記日以降の日に株券廃止の登記するのは不可。

株式移転の登記日においては株券は廃止されていることになるので、株式移転の登記による設立の際は株券発行や廃止に関する書類は添付不要。

②株券はいったん発行されたが、所持していない場合

A社の株主E社長が、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出る。

この申出の際、その申出に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにして
株券不所持申出書を提出する。

この場合において、原則は当該株式に係る株券が発行されているときは、当該株主は、当該株券を株券発行会社に提出しなければならないが、
今回は株券がないので株券の提出はできない。

そして、この申出を受けた株券発行会社は、遅滞なく、この株式に係る株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、又は記録する。

株券については、株券を発行しない旨を株主名簿に記載又は記録をした時において、無効となる。

以上の手続きにつき、登記や公告は不要。

以上の手続きを終え、株式移転登記の際に、株式移転計画書等、他の必要書類とともに、①株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、又は記録した株主名簿、②株券不所持の申出書を提出する。

今回はE社長は株券がないのでA社の株券の提出はできないが、この場合でも株券を提出する場合と同様、株券を発行しない旨を株主名簿に記載又は記録をした時において、無効となる。

ただし、株式譲渡のために設立日以前にE社長は会社に株券発行を要求し、株券を発行することは必要(※登記の際の提出は不要)ということでよいでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

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