税制適格ストックオプションの適格要件を満たすタイミングについて

◯事案の概要

2月10日前後に割当契約締結が行われる場合、2月1日に取締役、従業員は適格要件の付与対象者に該当するか

◯相談内容

1月30日 So発行の株主総会決議
2月 1日 取締役就任、従業員入社
2月 4日 So割当通知
2月10日前後 割当契約締結
2月14日 割当日

上記の時系列の状況において、2月1日に取締役、従業員は適格要件の付与対象者に該当するかどうかという点について検討しています。(1月30日時点では、取締役、従業員ではない)

私としては、付与対象者に該当するものと考えています。

①根拠条文 

租税特別措置法第29条の2では、「当該付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等との間に締結された契約により与えられた当該新株予約権」と定められています。

素直に読むと、付与契約の時点(2月10日前後)において、取締役、従業員の地位にあれば良いと読めます。

②総会決議との関係

通常、SOの発行決議においては、付与対象者は 属性・氏名・付与個数の3点と特定し、決議をしています。そうなると、30日時点では、属性 取締役候補者、入社予定として決議をする形となります。

これに関して問題は無いかという点において検討すると、属性は、法定の決議事項ではなく、株主に対する情報提供の意味合いで記載しているものであるから、適格要件の判定には影響はないものと考えます。

以上のとおり、適格要件を満たすものと理解しておりますが、ご意見を頂けますと幸いです。

なお、仮に2月1日以降の決議でないと満たさないという場合には、1月30日総会の決議において、決議の効力発生日を2月1日とする附則を入れることを対応策として検討しています。

◯菰田弁護士の回答

はい、税制適格か否かは個別のストックオプションごとに決まる問題ではなく、税制適格の要件を満たす者に付与されて初めて要件を充足しますので、税制適格か否かの要件は発行決議時ではなく個々の新株予約権者が割り当てを受けた日に要件を充足するかどうかで考えます。ですので、先生のお考えで間違っていません。