従業員への休業命令と役員報酬について

◯事案の概要

新型コロナウィルスの影響でクライアントの売上が大幅にダウンし、店を一時休業にすることになった。従業員には1日あたり賃金の60%の休業手当を支給し、役員報酬は50%カットする予定にしている。しかし4月から新たに新たに就任した取締約の役員報酬をカットするべきか悩んでいる

◯相談内容

新型コロナウィルスの影響で、クライアント(飲食業)の売上が2月から大幅にダウンし、店を一時休業にする予定です。

それにあたり、従業員(ほぼ全員)には休業命令を出し、1日あたり賃金の60%の休業手当を支給するつもりです。休業期間は分かりませんが、1ヶ月か2ヶ月くらいになるかもしれません。

雇用調整助成金を活用できるとは言え、従業員の雇用を維持するために、休業手当は法律ギリギリの60%で抑えたいと。

また、社長は、今期の役員報酬を50%カットするつもりです。ただ、4月から新たに就任した取締約の役員報酬で迷っています。専務は社長の元部下とは言え、ヘッドハンティングに近いです。

このような状況で会社の経営が苦しいのは分かるのですが、就任したばかりであることや、彼にも生活があり、簡単に報酬を下げる事は難しいです。社長も専務の役員報酬は下げたくない考えです。経営センスも高く、本来ならばもっと払いたいところだが、契約の内容でなんとかこらえてもらっている状況でもあるようです。

今期の赤字決算は間違いですが、借り入れで資金繰りもなんとかなる。そんな状況での質問ですが、私の考えは下記になります。

・労基法上:役員報酬に関する規定が何もないので、問題なし。
・会社法上:役員報酬を決めるのは株主総会であり従業員ではない。法的に問題なし。
・その他法律:不明

ただ、法律面で問題がなくても、やり方によっては従業員のモチベーション低下や経営者への不信感につながるとも思えます。しかしそれを考えても、今回は大きな問題がないと思います。

・売上ダウンは、明らかにコロナウィルスの影響である
・会社を維持するのに、給料ダウンはやむを得ない
・従業員の解雇、退職勧奨は考えていない
・社長も役員報酬をカットする
・専務については、「高い報酬を捨ててA社に来てくれた」とも言える

上場企業がリストラをした場合でも、役員報酬の減額義務があるという話は聞きません。ただ、リストラされた側の怒りや世間の印象は悪いです。しかし今回はリストラでも解雇でもなく、「給料の一時的ダウン」であり、従業員の雇用を維持しようとしています。

私の結論は「資金繰り等の経営に支障がないなら、法律面でも法律以外でも専務の役員報酬は下げなくても問題なし」「ただし、専務の役員報酬を下げる事で経営が少しラクになるなら、今期は少しでも減額するのもアリ」というものですが、お二人の意見を聞かせていただけますか?

◯横須賀の回答

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