給与計算期間の変更について

◯事案の概要

給与計算期間を変更する企業について、労働条件の合意は個別に必要か。また、一時的に支給額が定額になることに対するフォロー等の対応について

◯相談内容

ある企業で給与支給日(計算期間)の変更を検討しております。私が起案した以下の変更スケジュールと賃金支払い状況について、問題がないかご指導いただきたくお願い致します。

1 現在の締め払い
毎月20日締め、毎月末日払い

残業や遅刻早退欠勤等の不就労分の控除もこのスケジュールで行っていますが、給与計算期間の締め日から支給日まで10日間しかないため、締日から支給日までの間に土日祝日が入ると十分な作業期間が確保できず、社員の増加と合わせて様々な問題が生じています。(集計・計算ミスの多発、所属長が勝手に締日を切り上げて集計していたなど)

2 変更後の締め払い
月末締め、翌月25日払いとする

3 変更のスケジュール
ア)令和2年1月31日に変更前の締め払い期間(①)による最後の支給

イ)新支給日(1回目):R2年2/25「1/21~1/31までの10日分」
 
ウ)新支給日(2回目):R2年3/25「2/1~2/29までの1ヶ月分」 

エ)新支給日(3回目):R2年4/25「3/1~3/31までの1ヶ月分」

以上の変更について、検討するべき点として以下の事項を考えております。この点について、私の考え方に誤りがないか、また、検討から漏れている点などがないか先生にご指導いただきたいと思います。

①労働条件の変更に関する合意
給与支給日の変更は労働条件の大きな変更になると思いますので、できれば社員の個別同意を取るべきと考えます。しかし諸事情により個別同意を取得することは難しいため、可能な限り事前に社内周知と社内説明会を開催し、最終的には、就業規則の変更で対応したいと思います。

②一時的に支給額が定額になることに対するフォロー
上記の「3 イ」の支給時に「10日分」の支給しかないことを踏まえ、希望者を対象に会社が無利息の貸付を行う予定です。(上限額は直近の平均支給額との差額)

③労基法24条(給与支払い原則)の理解
基本的に計算期間を変更するだけで、支給総額に変更はなく、また、月1回の支給も行いますので、労基法24条で定められている給与支払い原則に反するものではないと考えますが、いかがでしょうか。

④税務・社会保険料の扱い
社員の所得税の扱いについては、支給総額が変わるものではないので、問題ないと考えております。次に社会保険料については、支給が低額となる「3 イ」の給与から全額を控除することが難しいため、次月以降に振り分けて徴収することを考えております。年金事務所とも相談しておりますが、この点で特に問題はないようです。

◯菰田弁護士の回答

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