許可が取れない状況のものを取れると勘違いして依頼を受けてしまった

◯事案の概要

旅館業許可申請の依頼を受けたところ、用途変更にかかる基準200平米について、共用部分を合わせると超えてしまうことがわかった。しかし依頼者は用途変更をしたくないと話している

◯相談内容

依頼されたのは旅館業許可申請です。建築基準法の用途変更を必要とする面積が緩和され、今まで民泊として使っておられた部屋を旅館業(簡易宿所)に変更するご依頼です。

依頼者さんは賃貸人で、転貸という形です。オーナーさんの承諾書もいただいております。私が用途変更にかかる基準200平米を、旅館業法の居室面積なのだと思い、受任しました。

事前審査は通りましたが、この時点で建築基準法上で引っかかるのではないかと行政指導を受け、建築課へ相談に行きました。図面を見せたところ大丈夫だろうと言われ、安心したのですが、なんとなく不安があり、もう一度計算してみました。

共用部分を合わせると、どうしても200平米を超えてしまいます。しかし、依頼者さんは、用途変更をしたくないと言われております。

今ご依頼いただいている部屋数から一部屋減らせば、旅館業許可は確実におります。このことをお伝えしたいと思っているのですが、損害賠償請求の可能性は出てくるのではと、どうしてもそこから頭が離れず、まだお伝えできずにおります。

ただ、遅くとも明日にはご連絡しなければならないと思っております。この度、申請するのは○市です。他の自治体では、例えば由布院などでは収納を潰して営業床面積を減らすということが可能です。
ただし、○市ではこの手法を条例で禁止しています。このことをお伝えして、一部屋減らして欲しい旨お願いするべきか、自分の確認不足を正直にお伝えするべきか、悩んでおります。

いずれにせよ、私以外の行政書士が申請しても、依頼者さんの望まれるお部屋全室の旅館業許可は下りません。

私は正直に謝ってしまいたいとは考えておりますが、損害賠償請求のことを考えると大変怖いです(損害賠償保険には一応加入しております)。どちらの伝え方を選べば、双方にとってよいのか‥アドバイスを頂戴できればと思います。

◯菰田弁護士の回答

端的に事実を依頼者に伝えて、どうするか検討すべきだと思いますよ。

おっしゃるとおり、先生のせいで取れるはずの許可が取れなくなったわけではなく、元々取れない状況だったものを取れると勘違いしていただけですので、許可が取れなかったことは損害ではありません。ですので、しっかり説明して、まずは今後どうすべきかを先に検討しましょう。

現時点で損害賠償がどうこうとなると、要するにここで仕事が終わりとなってしまいます。壁にぶつかっても、その壁をどうやって乗り越えるべきなのかをクライアントと一緒に考えるべきだと思いますよ。その上で、クライアントが望み通りにならずに損害賠償と言い出した時に考えましょう。

◯その後の相談内容

先生、ありがとうございます。今回ご依頼の許可が取れないことが損害とはいえないというお答えに、少し安心いたしました。

依頼者さんに、しっかりご説明し、いくつかの方向を提示させていただき、ここからの進め方を一緒に考えて参ります。またご報告させてください。ありがとうございました。