年間ストライキ権の確立の意味合いとロックアウトの正当性について

◯事案の概要

ユニオン対応の相談を受けている法人宛にユニオンからストライキ予告通知書のFAXが来た

◯相談内容

ユニオン対応の相談を受けている顧問先より、後日ストライキをおこなう旨の「ストライキ予告通知書」のFAXがあったと連絡がありました。

この会社の従業員は数年前より、ユニオンに加入して労働条件などについて交渉をおこなっているようです。ただ、私が昨年夏ごろより顧問になってからは文書による抗議や通告書のやり取りがあるだけで、団体交渉については一度も申し入れはありません。

抗議内容は、賃金決定についての評価基準の開示やそれについての資料・データ開示となりますが、これは企業の秘密事項として開示を拒否していました。この件等について通知書が送られてきています。

そこで、以下の3点についてお伺いしたことがあります。

①通知書にある「年間ストライキ権」の確立とありますが、これは、同時期または定期的にストライキを行う権利を労使慣行的に認めさせるような行為なのでしょうか?

ストライキをはじめとする争議行為は、争議行為の経緯と手続き面で正当性が認められれば、特にこういった行為がなくても、必要な範囲で認められる行為だと思っております。

そのため、わざわざ「ストライキ権の確立」をする意味が理解できません。もし、ご存じであれば、教えてください。

②今回、組合からは団体交渉をにおわせる抗議書はいままで何度もFAXされていますが、実際に団体交渉の申し入れをされたことは現在まで一切ありません。

今回のストライキの目的に評価の資料開示を促進するためとありますが、これについても今まで送られた範囲で回答を送付しています。

ストライキには抗議ストというものがあるのを理解していますが、今回の場合、1年以上も団体交渉の申し入れを一切していない状態で、争議行為をおこなうことは手続き的に許されない行為に該当し、適法なストライキとは言えないと考えますが、この点の認識は間違っていますでしょうか。

③ストライキの実施場所に「事業所内並びに事業場周辺」とされています。該当者は過去に、周りに相手にされていない状態でも大声で抗議的な発言を吹聴することも多いため、今回、同様の行為をされることを恐れています。

そのため、実施時間となったら会社が退席してもらうロックアウト的なことをしたいとの要望が来ていますが、人事や上司が囲むように社外に連れ出すような行為は問題がないことでしょうか。

調べてみましたが、法的な手段についてはなく、丸島水門事件や安威川生コンクリート工業事件の最高裁判例でも、交渉態度、経緯、組合側の態度、使用者が受ける打撃の度合いなどにより判断される程度しか読み取れませんでした。

おそらく個別的な判断になると思いますが、ご意見をいただけますでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

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