取締役を務める2社間での資金流用は、利益相反にあたらないか

◯事案の概要

父親Cが死亡し、Bが株式会社Xの株式を100%引き継いだ。その後経営する別会社に資金を流用していた。X社の代表取締役であるAと話し合った結果、株式会社Xの株式はBからAに譲渡されることになり、同時にこの件は不問とすると言う話し合いで決着がついた。

しかしその後、AがBに対して過去の株式会社Xでの不正な取引等について横領や背任を理由に弁済を求めている。

◯相談内容

中小企業における株主と役員の関係におけるトラブルの相談です。

父親Cが死亡し、Bが株式会社Xの取締役となり株式を100%引き継ぎました。その後、株式会社XからY社(Bが経営している別会社)に資金流用が行われました。

その後、Xの代表取締役であるAとの間で話し合いが行われ、株式会社Xの株式はBからAに譲渡されました。(無償で引き渡し。贈与かと思います。)書面は株式の譲渡契約(対価0円)しかありませんが、口頭で「過去のXY間の資金流用や私的流用については不問にする」とのやりとりはあったようです。

その後母親Dが亡くなり、遺産分割協議の際に、AがBに対して過去の株式会社Xでの不正な取引等について横領や背任を理由に弁済を求めました。

Bの言い分としては、過去の資金流用については一応Bが経営する別法人Yで業務の発注を受けており、単なる資金の横流しではなく業務の対価である。また、XY社ともにBが100%株主である以上、利益相反にはあたらない。私的流用についても交際費の範囲内であり、支出当時には取締役であった責任と権限の範囲内の支出であるし、株主としても承認したものだ、というものです。

①このBの言い分は、当時自らが100%株主という理由で認められるものなのでしょうか?

②株式譲渡に際して、BがAに株式を無償で引き渡して「Bの任期中の期間の行為については不問にする」という合意をしたことについて、無償譲渡の事実関係だけでもって和解があったことを主張することは難しいでしょうか?

③もし和解が文書でされていた場合に、もちろん内容にもよりますが、いわゆる清算条項などでお互いに権利義務を放棄していた場合は、過去の行為が不法行為だとなった場合でも、告訴も含め弁済の要求を退けられたのでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

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