シンガポールの不動産を現金化したが、日本人の相続人は不動産の譲渡益に課税されるか

◯事案の概要

シンガポール人夫が、自身の死亡後はHDBを売却して妻に分配するよう指示。委任された弁護士が遺産管理業務として先日不動産を売却し、現金化したが、この場合に妻は不動産の譲渡益に課税されるか

◯相談内容

シンガポール人夫(シンガポール在住の非居住者)がシンガポールのHDBというシンガポール国民を対象とする公団住宅を残して死亡しました。相続人は日本在住の日本人妻のみ。相続財産は日本のものも含めて金額的に相続税はありません。

夫は生前にシンガポールの弁護士に依頼し、委任状で、死亡後はHDBの不動産を売却して妻に分配するよう指示。弁護士は夫の死後、委任状に従って、遺産管理業務として先日不動産を売却し、現金化しました。

この場合において、妻は不動産の譲渡益に課税される、という理解でよろしいでしょうか?

悩んでいるのは、本事例で、不動産を譲渡した者は誰になるのか、という点です。本件の相続の準拠法はシンガポール法で、シンガポールは管理清算主義ですから、日本のように死亡により相続財産を包括承継しません。

そして、シンガポール法においては、妻の相続「前」つまり、「人格代表者(Personal Representative)」の管理下にある時点で不動産の処分が行われています。

そうすると、処分したのは人格代表者の相続財産管理人で、妻が受け取る相続財産は不動産を現金化された後の「現金」ということになり、不動産を相続した後に売却して譲渡所得税が課税される場合とは同じとは考えられないのではないか、ということです。

感覚的には妻が不動産の譲渡益に課税されないのはおかしいとは思うのですが、法的には上記のような主張もおかしくないと思われますので、先生の見解を伺いたいです。よろしくお願いいたします。

◯菰田弁護士の回答

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