母親、父親が相次いで亡くなった場合の相続手続きについて

◯事案の概要

母親、父親が相次いで亡くなった。母親は遺言書はないが、父親は公正証書遺言を残している。このときの相続と相続手続きについて相談したい

◯相談内容

相続の件でご相談です。母親AがX月1日に亡くなり、父親BがX月2日に亡くなりました。AB夫妻には、子どもが2人(CとD)います。父親Bには前妻との間に子どもが1人(E)います。

母親には遺言はなく父親は公正証書遺言があり、その遺言には財産はCとDに相続させることが書かれています。父親Bの前妻とのこどもEの名前は父親Bの遺言には名前が一切出てきません。

Eの存在は、CとDは全く知らず、父親Bが亡くなったことで初めて知りました。Eには父親Bが亡くなったことは伝えていません。(Eの存在は分かったけれども、生きているか死んでいるのか、子どもがいるのかなどは不明)

母親Aの法定相続分は、父親が亡くなる前であれば以下のようになります。

    • 父親Bが、2分の1
    • 子どもCが、4分の1
    • 子どもDが、4分の1

しかし、父親Bが亡くなったことにより、母親の法定相続分は、以下のようになると思います。

  • 子どもCが、12分の5
  • 子どもDが、12分の5
  • 子どもEが、12分の2

以上が状況のご説明になります。そこで、ご指導いただきたことは以下になります。

①母親の遺産分割で父親の法定相続分の2分の1は、父親の遺言を活かして子どもCと子どもDのみが相続する形にすることができるのでしょうか?

私は、子どもEの存在があるので、子どもEと子どもCとDの3人が話し合いの結果、父親Bの遺言を活かして子どもCと子どもDのみが相続することは可能だと考えます。
子どもEに連絡をせずに母親の遺産分割及び父親の遺産分割をしたとしても金融機関や不動産の相続登記などの手続きができない可能性があると想像します。

②子どもEに連絡をせずに母親と父親の相続を子どもCとDの2人で行った場合、後日子どもEが遺留分減殺請求をしてくる可能性があります。

遺留分減殺請求をしてきた場合は、弁護士の分野になると思うのですが、減殺請求をしてきた段階で弁護士案件になるのか、請求が来てその要求を拒否したいという場合に弁護士案件になるのか、境目はどのように考えたらいいのでしょうか?

私は、遺留分減殺請求が来て遺留分を渡したくないと請求された側が判断したときから弁護士案件になると考えますが、この考え方でいいのでしょうか?

③子どもEに連絡を取った場合、Eが見ず知らずのCとDに対して財産分与の権利を強く主張してくる可能性があります。

父親の財産として不動産がありますが、そこには子どもDが暮らしている(無職で独身、精神障害がある様子)ので、その不動産を売ってお金を用意しなければならなくなったり、不動産自体が子どもEに持っていかれる可能性があります。そうすると、子どもDの生活がままならなくなるおそれがあります。

子どもEに連絡をせずに子どもCとDで遺産分割をして、遺留分減殺請求が来たら、そのときに対応するのがいいのか、それとも、正論で相続人であるこどもEに連絡を取り、もめたら弁護士に対応してもらうのがいいのか、この判断基準をどこに求めたらいいのか。

銀行の相続手続きでは、遺言があっても遺言執行者が指定されていないときは、亡くなった人の生まれてからの戸籍謄本を出すのが一般的ですから、たとえ子どもEに連絡をしないで父親の遺言のとおりに遺産分割をして協議書を作ったとしても銀行から子どもEのことを言われて手続きができないことがありえるのではないかと想像します。

私は実務としてそのような経験がないので、菰田先生のご経験から遺言の通りに遺産分割をしても、遺言に記載のない相続人の押印がない遺産分割協議書は無効になるのでしょうか?

子どもCとDは、父親が子どもEには財産を残さず、子どもCとDのみに財産を残す公正証書遺言を作ってくれていたので、会ったこともない子どもEには連絡を取りたくない、権利を主張されたくないという気持ちが強いです。

まとまりがない文章になってしまいましたが、ご指導いただきたくお願いいたします。

◯菰田弁護士の回答

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について