会社が傷病手当金を代理受領することは可能か
◯事案の概要
社会保険料の徴収を確実に行いたいため、傷病手当金を受給している社員については、会社が傷病手当金を代理受領したい
◯相談内容
クライアントの法人から、以下の要望を同時に満たしたいとの相談がありました。
①傷病手当金を受給している従業員からの社会保険料徴収を確実に行いたい
②「傷病手当金は、会社が代理受領する」という具合に、自動的に代理受領できる程の強い文言を就業規則条文に加えたい
②の要望に関しては、前提として会社と従業員の合意が必要不可欠であるから、自動的に代理受領できる旨の条文は無効になると理解しております。そもそも条文を加えなくても個別に代理契約をすれば良いと思っております。
そこでご相談ですが、代理受領に関して、従業員の意思は関係なく制度として規定・運用することは可能なのでしょうか?ちなみに、私はどんな建付けがあっても難しいのではないかと思っております。
◯菰田弁護士の回答
先生の解釈が正しいですね。
個別の従業員の同意無しに傷病手当金を会社が受領することは不可能です。そのため、そのような条文を就業規則に組み込んでも、有効か無効かというレベルの問題ではなく、傷病手当金の申請時に会社が代理受領することを従業員本人が了承していないといけませんので、条文の有無は関係ありません。
結局、個々の従業員の意思に反して行うことは不可能ですので、個別に了承をもらうしかありません。