シフト制かつ1か月単位の変形労働時間制:シフト時間が法定労働時間より短い月の賃金について

◯事案の概要

正社員労働条件で「1か月単位の変形労働時間制+シフト制+月給制」(変形労働時間制の範囲内で前月までにシフトを決定して勤務し、賃金は月給払)という企業がある

◯相談内容

顧問先の正社員労働条件で「1か月単位の変形労働時間制+シフト制+月給制」(変形労働時間制の範囲内で前月までにシフトを決定して勤務し、賃金は月給払)のところがあるのですが、賃金計算の考え方で気になるところが出てきまして、教えていただけますと幸いです

当該事業所の正社員雇用契約書では、就業時間の欄で以下のように規定されています。

・毎月1日を起算日とする1か月単位の変形労働時間制
・変形期間中の始業・終業の時刻および休憩時間は、あらかじめ勤務シフト表により定める
・業務の状況又は季節により、始業時刻、終業時刻及び休憩時間を繰り上げ、又は繰り下げ、及び変更することがある。
・シフト表の作成方法や周知時期については就業規則で規定されている

お聞きしたいのは「シフト時間を超えているが法定内である時間分の賃金」の扱いです。

①月給制の賃金構成は【固定の月給(基本給+諸手当)+ 所定労働時間を超えて働いた時間分の賃金(法定内と法定外がある)】であるところ、

月給(基本給+諸手当)は契約した労働時間(=所定労働時間)に対する賃金であり、所定労働時間が法定労働時間より少ない場合は、「所定外かつ法定内労働時間に対する賃金(100%)」と「法定外労働時間に対する賃金(125%)」を月給のほかに支給する必要がある(契約で約束した月給に対する労働を超える労働だから)

という理解で合っていますよね?

②この点、当該事業所のような変形労働時間制かつシフト制の場合の「所定労働時間」は、

1 「毎月、シフトで決めた労働時間」がそれに相当するのか、
2 1か月単位の変形労働時間制で法定内とされる労働時間(一般的に1か月変形労働時間制で割増賃金の対象となる時間)のどちらになるのでしょうか。

③契約の趣旨からすると1かと思いますが、そうであれば、法定労働時間よりシフト時間が短くなる月の賃金は、

・契約で決めた月給(シフト時間に対する賃金):固定の基本給+諸手当
・シフト時間を超え、1か月単位の変形労働時間制における法定労働内の時間に対する賃金:時間数×基準賃金
・1か月単位の変形労働時間制における法定外労働(割増対象となる時間)に対する賃金:時間数×基準賃金×125%

の3つを合わせて支給するという理解で合っていますでしょうか?

④シフト外(100%)と法定外(125%)を組み合わせて設定することができなさそうなので、シフト外すべてを残業時間として法定外分の割増賃金(125%)を払ってしまうのが最も簡便でしょうか。

⑤あるいは、シフト時間が平均週40時間を下回る月が多いようなら、今後は契約書の方を変えて、「歴日数31日の月は171.1時間、30日の月は・・・を所定労働時間とする」といった規定で所定労働時間=法定労働時間とすることは可能でしょうか?

◯菰田弁護士の回答

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