状況が整うまで誤った計算方法で時間外割増を支払い続けることについて

◯事案の概要

これまで誤った計算方法で時間外割増を支払っていた医療法人・クリニックなどにおいて、1か月単位の変形労働時間制を導入を目標とし、労使協定の手続き完了までは、従来のやり方を継続することを検討している

◯相談内容

下記状況の医療法人・クリニックがあります。

これまで誤った計算方法で時間外割増を支払っていた。
(月間平均で週40時間を超えた場合のみ時間外割増を支給)労使協定・就業規則ともになく、変形労働時間制の手続きは取られていない。
従業員は計算の誤りに気付いていない。少しおかしいと感じている従業員はいるかもしれないが、指摘してくる者はいない。
試算してみると1か月単位の変形労働時間制を採用することで、通常の計算より時間外を抑えられそう。(シフトを整備すれば変形労働時間制がはまりそう)

このような状況で、対策として以下のように考えています。

・1か月単位の変形労働時間制を導入することを目標にしたうえで、就業規則による規定だと時間がかかるため、取り急ぎ労使協定を締結してすぐに届出。
⇒届出以降、協定にそった計算方法(1か月単位の変形労働時間制)で時間外割増を支給する。

・労使協定の手続き完了までは、従来のやり方(誤った計算方法)でしのぐ。
⇒本来はすぐさま正しい計算方法(1日8時間・週40時間)で計算するよう指導すべきと思いますが、従業員からすると急激に残業時間が倍増し(多い人は10倍とか)、スタッフ間に動揺が広がる恐れがあります。
また、変形労働時間制が入ったあとに再び残業時間が減るので、増えたり減ったりで不信感を招く恐れがあります。

変形労働時間制が入れば従来の計算方法で出したものと近い法定外労働時間数になるので、いったん正規の方法で支給する期間をはさむより、手続き完了までは従来の方法でしのぐのが良いのではと考えた次第です。

上記の提案だと、労使協定の手続きが完了するまでは労基法違反の状態が続くのですが、

①そもそもそのような提案は法令違反の指導となるのですぐさま正規の方法で計算するよう指導すべきか

②上記提案はしかたないとして、その場合に起こりうるリスクは何か。
従業員20名ほどいるのに就業規則が届けられていない状態で、変形労働時間制にかかる労使協定のみ先に届け出ることで労基署の方から何らかの指摘が予想されるか。

労使協定を先に届け出ることがやぶ蛇になって他にも色々とつつかれてしまうのなら、取り急ぎの労使協定ではなく就業規則により導入する方がよいのかと思いました。

◯菰田弁護士の回答

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