基準日と自己株式の関係について

◯事案の概要

創業からの慣行で「株主=従業員の一部」の関係がある非公開会社において、退職する株主がいる場合、当該株主への剰余金の配当・当該株主への定時株主総会の招集及び議決権行使・定時株主総会の総議決権の当該株式のカウントの取扱はどのようにすれば良いか

◯相談内容

基準日と自己株式の関係について質問があります。

・創業からの慣行で「株主=従業員の一部」の関係がある非公開会社があります。
・株主の退職の事由をもって会社が自己株式を取得できる「取得条項付株式」(会社法第107条第1項第3号)の制度を設けています。
・定款において、定時株主総会の議決権及び剰余金の配当に係る基準日を「事業年度末日」と規定しています。

今般、退職する株主が1名でました。(以後「当該株主」といいます。)
取得条項に基づいて当該株主が持っていた株式は自己株式となりますが、定時株主総会に向けて

①当該株主への剰余金の配当について
②当該株主への定時株主総会の招集及び議決権行使について
③定時株主総会の総議決権の当該株式のカウントについて

の取り扱いはどうすればいいでしょうか?
また、今回の事態を防ぐために、基準日の条項を削除することは効果はありますか?

<私の見解>
①剰余金の配当については、定款で定める基準日に当該株主が株式を保有しているので、株主の利益保護の観点からも行うべきと考えます。

②招集通知については、①と同様に基準日の時点では株主であるため、行わなければならないと考えます。ただ、議決権については株主総会の時点で自己株式であり、議決権がないと考えられる以上行使すべきでないと考えます。(ここの理論構成がいまだに悩んでいる状態です。)
   
③総議決権数へのカウントについては、自己株式であるため議決権行使ができないと考える以上、除外するべきと考えます。

◯菰田弁護士の回答

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