ケガをした従業員が「体は問題ない」と回答した後で、安全配慮義務違反を主張してきた

◯事案の概要

従業員が自動車事故を起こした。社長は従業員を心配し、仕事を休んでもよいと話したが「体は問題ない」という回答だったためそのようにしていたところ、会社に対して安全配慮義務違反と慰謝料の請求をし始めた

◯相談内容

Tの従業員Oは軽自動車と衝突事故を起こしました。事故の過失割合は9:1(Oの過失は1)とのことです。社長はOを心配し、仕事を休んでもよいと話しましたが、「身体は問題ありません、仕事も続けます」との回答と「加害者とは私が話をします」と言ったことから、そのようにしたそうです。

その後Oの診断書を見つけたため再度身体の様子を聞いたところ、特に問題ない、仕事も続けるとのことでした。ところが、『診断書に4週間の安静、加療を要すとあるのに自分は1日も休みを取らせてもらえなかった。これは安全配慮義務違反である。』※1

『労働基準監督署へ駆け込まれて困るなら慰謝料を支払ってくれ。また自分の定期便の仕事も自分が直接契約することを約束しろ』※2とすごい剣幕と暴言でまくし立ててくるようになりました。そこでT社長と私は労働基準監督署にお話を伺ってまいりました。以下が回答です。

A:労働相談コーナー在籍の行政協力している社労士からは『診断書を出された時点で、「4週間の安静」なので休職させなければならなかった、休業させていないので安全配慮義務違反で訴えられる可能性がある』との回答でした。

B:労災課の職員の回答では、今回の事故は第三者行為災害となるので、被災労働者に対する補償は加害者(第三者)からの補償または、労災保険からの補償(ただし加害者へ求償は行う)は重複して受けることはできないためどちらかの補償を選択することになるとのこと。

今回はOから「折衝は私がやります」といわれているため、加害者の自賠責や任意保険を使いOに補償(人身、休業損害)が行われるはずと意見いただきました。

もし労働者Oが今回の件で労働基準監督署に通報すれば、※1の安全配慮義務違反の主張通り会社は処罰されるのでしょうか?

私は上記Bの労災課の意見と同意見です。もし安全配慮義務違反の主張が通ったとしても、労働者側が主張できるのは労災保険の療養補償給付や休業補償給付部分で、上記※2の要求に関しては単なる脅迫ではないかと思ってしまいます。

◯菰田弁護士の回答

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について