実印を貸し出してしまったところ、無断で連帯保証人にされてしまった

◯事案の概要

親族に実印を貸し出したところ無断で借金の連帯保証人にされてしまった。債務者本人が返済を滞っているため、自分のところに請求がきており、差し押さえ状も送達されている。今後どのように対処すれば良いか

◯相談内容

親族に勝手に連帯保証人にさせられた方からの相談です。

Aさんは以前車の名義変更のために親族であるBに実印を貸し出しました。そのあとBは在籍する会社から300万円を借り入れ、連帯保証人としてAさんの名前で勝手に署名捺印しました。

その後Bは会社を辞め、借入金の返済を滞るようになり、半年に一度程度微々たる額を支払っているとのことです。そのため会社側は妹であるAさんに請求をし、差押え状も送達しています。

このケースとしては実印を貸し出した以上Aさんの立場は弱く、抗弁や否認として自分が連帯保証人ではないということの反証は難しいのかと思っています。

幸いというか、Aさんは無職で目立った財産を保有しておらず、開き直ることは可能ですが、督促状が続くことをなんとか止めたいというお気持ちです。Bさんの奥様が今後は責任を持って返済するという旨のことを述べられているようですが、返済の確証は持てていません。

今後のAさんのリアクションとしては、浅学な私個人の意見としては以下程度のことしか考えられないのですが、いかがでしょうか?

①督促状が届くのを我慢して開き直る。仮に訴えられたら、実印を貸し出したのは車の名義変更のためであることの立証に努力する。(借金の日付と名義変更の日が近いことや、証人Bの証言、筆跡鑑定の資料の提出)

②あえてAさんから、会社に対して債務不存在の確認の訴えを提起する。

◯菰田弁護士の回答

なるほどですね、Aさんとしては財産がなく差押えられるものがなくて、かつ、督促に困っているのであれば、破産申立をすべきでしょう。

ただ、先生のおっしゃるとおり、開き直れる状況で差し押さえられる物もないのであれば、あえて自己破産までしなくて良いでしょう。ですから、①で良いと思います。

わざわざコストをかけて債務不存在を争っても、それほど勝ち目がないと思いますので、②は不要かと思います。すぐに自己破産するのももったいないので、様子を見てみてください。