1年単位の変形労働時間制と振替休日について
◯事案の概要
繁忙期と閑散期の差が激しい旅行業の会社で、1年単位の変形労働時間制の導入の準備を進めていたが、残業代に関連して労使協定を結ぶ段階になって反対が出ている
◯相談内容
1年単位の変形労働時間制と振替休日についての相談です。
①1年単位の変形労働時間制について
繁忙期と閑散期の差が激しい旅行業の会社で、1年単位の変形労働時間制の導入の準備を進めていました。最初は社長も忙しいときに働き、暇な時に休んで短期留学等に行かせてあげたいと言い、賛成していたのですが、労使協定を結ぶ段階になり反対しています。
理由は、月25時間の固定残業代を支払っているため、導入すると会社の損になるということです。変形労働時間制を導入するのであれば、固定残業代は止めたいとのこと。固定残業代は適法に実施されていますが、固定残業代を止めことは、残業がない月の給与は実質的に減額となるため不利益変更と考えて良いでしょうか。
従業員の合意があれば問題ないと思いますが、「1年単位の変形労働時間制を導入するのであれば、固定残業代を止める」と選択させることはどの法律に反しているとはっきり言えないのですが、引っかかります。
②1年単位の変形労働時間制ではなく、振替休日で対応することについて
3~5月が繁忙期、8月と1~2月が閑散期です。繁忙期は急な予約等で休日出勤がありますが、閑散期は出社してもほとんど仕事がない状態です。
1年単位の変形労働時間制を導入せず、個人単位の約束で振替休日として対応することも考えています。この場合の注意点として次の二つを考えていますが、漏れはあるでしょうか?
1 あらかじめ振替休日の日を特定しなければならない。
2 休日出勤したことにより、週40時間を超える場合は時間外労働の割増賃金が必要。
また、月をまたぐため、休日出勤の月は休日出勤した日数分の賃金を支給し、振替休日の月はその分を控除することになるかと思いますが、実務上これらを相殺することは問題があるでしょうか?
(法律上全額支払いの原則に反しますが、徹底すると休みを取った月の給与が激減する可能性もあるため)