土地を売却するために借地人へ明け渡しを求めたい

◯事案の概要

土地を売却したいので賃貸借契約を結んでいた借地人の単独相続人に対して債務不履行を理由とした契約解除を申し入れたい

◯相談内容

借地権について質問させてください。

AとBの間で、昭和58年(1983年)12月22日に「宅地賃貸借契約書」が作成されました。
契約書に記載されている条項は下記の通りです。

・目的 ⇒「借地の使用目的は、鉄骨スレート造の工場兼事務所の所有とする」
・期間 ⇒「期間は本契約締結の日から向う10年間とする」
・賃料
・目的外利用の禁止
・無断転貸の禁止
・契約の解除 ⇒「Bがこの契約の各約束に違反したときは、Aは催告なくしてこの契約を解除することができる。但し、賃料については6か月以上延滞をしたときに限り、6か月に達しないときは催告の上、解除する。」
・契約終了後 ⇒「乙は本契約満了のとき、又は本契約解除のとき、無償にて借地権をAに返還する。」

その後、Aは、平成4年11月に死亡し、Aの遺産分割協議は令和5年11月にまとまり、Cが単独相続しました。本賃貸借契約書も令和5年の夏頃に発見したそうで、契約があった所在もこの時分かったそうです。

ただそう言いながらも、Cが認識している限りでは、賃料はAの死後、配偶者Dが平成18年に死亡するまでは、BはDに賃料を支払っていたそうです。Cとしては、当該土地を売却したいので、Bに明け渡しを依頼したいとの相談がありました。

そこで、以下のような考え方で良いのか?ご教授、ご助言を頂ければと思います。

①当該契約は旧借地法が適用されるため、契約期間10年としても、30年未満であるため、期間の定めのない契約とみなされ、且つ、堅固な建物に該当するため、存続期間は60年となる。つまり、存続期間は2043年まで、未だ、契約は有効。

②CもAの立場を相続するため、①の期間に従わなければならない。

③しかし、Bは平成18年以降債務不履行であり、これを根拠に本賃貸借契約は解除可能。(解除の正当事由になると考えるが)即時解約は難しいと考えるので催告(1年程度?)は必要と考える。

④③は正当事由に該当するため、Bは立退料を請求できない。

⑤消滅時効を援用されても、5年分の賃料は請求可能。今後においても、明け渡し完了までの賃料は発生する。

⑥借地の更地返還までは契約書に記載がないので、この点では取壊し費用折半等の交渉が必要と思われる。

しかし、特に⑥に関しては解除事由が債務不履行であり、相当期間(18年間)、賃料未払いが継続しているため、信頼関係破壊の法理により、取壊し費用についてもB負担になるのでは?とも思います。

◯菰田弁護士の回答

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