執行役員の管理監督者性や労働時間管理について
◯事案の概要
労働基準監督署の調査が入ることになり、3か月分の疎明資料を持参のうえ調査を受ける。タイムカードの打刻については所定労働時間と乖離があるものの、残業命令および事前申請はない
◯相談内容
このたび、ある事務組合のクライアントに労働基準監督署の調査が入ることとなりました。3か月分の疎明資料を持参のうえ調査を受けます。
タイムカードの打刻については、所定労働時間の前後それぞれ1~3時間程度の乖離がありますが、この3か月、残業命令および事前申請はありませんでした。
タイムカードを踏まえて労働時間管理を行うということができておりませんでしたので、まずこの3か月についての労働時間の特定作業を行っていただいているところです。
タイムカード打刻の時間外整理としては一般社員、執行役員(取締役)、嘱託職員とも「事前許可のない」ものは労働時間として認めないというルールになっています。
時間外手当の支払状況については、
・残業手当として固定残業代が支払われているもの
・役職手当のみが支払われているもの
・手当が全くないもの
の3パターンです。
役職手当は一律支給がされており、いずれも超過分の清算はされていません(前述のとおり労働時間の特定がされていません)
労働者のうち4名については定額の残業手当が出ておりました。金額も5万~10万の設定であったため、その範囲で収まりそうです。(この後検証作業をおこないます)
執行役員2名について、その役職上時間外手当は管理職としているため、時間外手当は支払わないという規程になっておりました。
その役職手当が低額であることから、管理監督者として認めるのは難しいと考えています。
今後その役職手当について「時間外手当を含む」という固定残業代の要素を持たせることはできるかもしれませんが、実態からみても労働者的性格の強い方であると思われます。
1名については、定年後再雇用の嘱託社員で基本給のみ、雇用契約上所定時間外労働および休日労働は「無」となっております。しかしながらタイムカードの打刻上つねに2~3時間の超過がみられます。
社長は残業命令をする案件の業務量がないため、一度も時間外命令をしたことはなく、都度帰宅を促しているものの、社歴の長い方(社長よりも長い)ため、とどまってしまう時間が長くなってしまい、問題視しているもののその対応は行っていないという現状です。
執行役員と嘱託社員の対応として、次の提案を行うことを考えております。
・執行役員については職務手当について残業代の一部とし(ただし不利益変更にあたるので他の条件等においての労使間の協議が必要)超えた分を毎月清算するようにする。
もしくは営業職という性格なので業務委託によるフルコミッション契約を検討する。時間拘束をしない
・嘱託職員については再度時間外の手続きについての説明を行い、命令外の在社時間については時間外労働として認めないことを徹底する
今後の対応として、会社は勤怠システムの導入を検討されています。
お聞きしたいこととしては
①執行役員の管理監督者性は認められないと思われるので、時間外手当を払わないというスタンスは改めた方がいいと思われますが、いかがでしょうか。
②労働時間を完全に裁量をもたせれば、業務委託への移行ができるのではないでしょうか。
③嘱託社員も含めて、タイムカードと労働時間の乖離は毎月事情を確認することで2~3時間の乖離を修正することは可能ではないか。
ただし、これが常態化することは好ましいことではないので、打刻のルールも見直すことを提案してもよいと考えられますが、いかがでしょうか。
④定額残業代として設定はされているものの、精算が行われていないという状態では、例え毎月定額残業代に収まっていたとしても認められない可能性があると思うのですが、いかがでしょうか。
