身元保証書の上限額はいくらが妥当か

◯事案の概要

身元保証書の上限額はいくらが妥当か

◯相談内容

過去の判例においては、350万円の横領事件で4割の140万円、900万円の横領事件で2割の180万円の賠償が認められております。(会社の管理不行き届きが問われ、100%は認められていません)

相場感でいえば、

・月給の6ヶ月分~12か月分
・新卒20万円として120万円~240万円

以上からすれば、100万円~300万円といったところでしょうか。会社とすれば1000万円といいたいところでしょうが、それでは保証人のなり手がいなくなり、現実的ではありません。

また、会社が損害を被るとすれば具体的にいくらが想定されるのか。

(いくら使い込まれれば発覚するか?社用車の事故、建設機器の破損等で、保険が認められない額など)あるいは、過去の実績はどうだったかから決めればいいのかと思いますが、菰田先生の見解はいかがでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

法的には上限はありませんので、上限額がきちんと明記されていれば問題ありません。ここで問題が生まれるのは、公序良俗違反で無効になるケースぐらいです。要するに、あり得ないほどの高い上限額を設定するようなケースですね。

先生のおっしゃる通り、会社でどのような賠償が発生する可能性があるのかを想像し、そこであり得るレベルであれば公序良俗違反を問われる事はないでしょう。

しかし、会社であり得る賠償額がマックスでも100万円程度にもかかわらず、そこで1,000万円の賠償上限を定めたとすれば、それは公序良俗違反となる可能性がゼロではありません。

結局は原則として当事者間で合意が取れていれば上限額はいくらで設定しても構いませんし、上限を記載していれば構いません。ただ、あまりに上限額が高いとそもそも身元保証書が取れないでしょうから、現実的にはあまり高い数字は難しいところでしょう。

私としてはそもそも身元保証書というものをなるべく取らないようにクライアントには伝えています。やはり会社で起こった事は会社の問題であって、成人した大人の従業員たちの言動について、親や親戚などが責任を持つべき話ではないと思います。

また、民法改正によって上限額を明記するようになった以上、身元保証人になる人もあまり良い印象を抱かないでしょうから、親族の会社に対するイメージを悪化させる1つの要素になりかねません。

本人が会社でいろんなことが起こって離職を少し考え出した場合、最初に相談するのは家族だったりしますので、家族の会社に対する印象が良ければ良いほど離職率は下がります。

ですので、使うかどうかもわからない身元保証書に労力を割かず、そのような事態が発生しない業務管理の方に労力を割きましょうと私は伝えるスタンスでやっています。