割増賃金や最低賃金を考える際の冬期間だけに支払われる燃料手当の解釈について
◯事案の概要
冬期間の10月から翌年3月まで毎月支給される燃料手当について、割増賃金や最低賃金を考えるときにどのように解釈したらよいかという相談を受けた
◯相談内容
クライアントから、「冬期間の10月から翌年3月まで毎月支給される燃料手当は割増賃金や最低賃金を考える時にどのように解釈したらよいか?」との相談がきました。
燃料手当を賞与として一括で支給する会社もあれば、月ごとに支給する会社もありますが、このクライアントは月ごとに支給するタイプの燃料手当です。
この燃料手当の性質は、
①労働の質や量に関係なく支給されるもので純粋に労働の対償ではなく暖房代の補助として支給されている手当である
②正確に確認は取れていないのですが、支給額はおそらく世帯構成により変動し、月に5,000円、8,000円、15,000円のどれか
です。
自分なりに考えて、この燃料手当が割増賃金や最低賃金から除外となると主張するとしたら、臨時に支払われた賃金か、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金か、冬期間に実質家族手当が増額されるようなものと主張することになるのかなと思い、通達や判例を調べました。
すると、寒冷地手当や石炭手当は臨時に支払わる賃金であるという通達(昭和25.12.19基収3720号)や、それとは逆に割増賃金の算定にも含めるし、家族手当とはみなさないとされている通達(昭和25.4.25基収392号)、もう一つの通達(昭和24.1.28基収3947号)でも寒冷地手当が割増賃金の基礎たる賃金であるとされています。
裁判例でも寒冷地手当、石炭手当は「月によって定められた賃金」には該当せず、臨時に支払われた賃金に該当するとされるものがありました。
また、これは燃料手当についての裁判ではないですが、「臨時給与と同質のものであるとしても、その支給月額が毎年あらかじめ定められ、これにより月毎に支給されるものである以上、これを1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金と同視することはできない」とされていたものもありました。
燃料手当が労働の対償ではないとしても、あらかじめ支給時期や金額が定められている以上、臨時に支払われる賃金や1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金には該当せず割増賃金の基礎となる賃金に入れて計算しなければならないのではないかと思っています。
もし割増賃金の算定から燃料手当を除外したいとなると、臨時に支払われる賃金として主張するならば、支給時期や支給金額を明確にせず、支給することもあればしないこともあるような取り決めとしなければならないのではないかと思います。
また、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金と主張するならば、賞与と同じように考え、燃料手当は半年間の会社業績とその年の原油価格に応じて支給金額が変動するような制度とし、半年分を6で割ってその金額を月毎に支給するというような制度になるのかなと思っています。
家族手当のようなものと主張するなら、扶養家族を持つ者だけに冬期間の10月から翌年3月までの家族手当を燃料手当分増額した金額で支給し、独身者には支給しないというような制度とする、ただし、独身者も燃料手当をもらっていたなら不利益変更にあたる。
このようなことを考えていたのですが、菰田先生は燃料手当についてどのような解釈をお持ちでしょうか。
簡潔に書くと、知りたいことは2つです。
①労働の質や量には関係せず、支給金額、支給時期が毎年同じこの燃料手当は割増賃金や最低賃金のことを考えたときに除外される賃金となるか
②除外される賃金とならない場合に割増賃金の基礎となる賃金から除外するためには、少なくともどのような支給方法でなければならないか
以上2点となりますが、よろしくお願いいたします。
