遺言書と異なる配分で相続を行いたい
◯事案の概要
被相続人の遺産は家と預貯金があり、相談者(相続人)に家を相続させると書かれていた。しかし家の上には太陽光発電パネルが乗っており、[土地─相談者、家─被相続人、太陽光発電─相談者]という状況になっており、相談者は家は解体したいと考えている。費用も受け取りたいと考えているが、遺産分割協議をやり直すことはできるか
◯相談内容
相続関係の相談です。ある女性が今年亡くなりました。子供がおらず、兄弟も全員死去しており、相続人は甥・姪です。このうちの甥の1人からの相談です。
被相続人の遺産は家と預貯金があり、公正証書遺言が残っていました。内容としては、建物を甥(相談者)に相続させる、預貯金の一部を姪に相続させる。その他の遺産は、法定相続人に法定相続分どおり相続させる、遺言執行者はY行政書士というものです。
被相続人は、家は自分名義でしたが土地は相談者の名義でした。元々別の所に住んでいましたが、その土地になじめず、見るに見かねた相談者が自分の地面を提供して家を建てさせたとのことでした。
その家の上に相談者名義の太陽光発電パネルが載っています。つまり、[土地──相談者、家──被相続人、太陽光発電──相談者]となっています。
相談者としては、家はもらっても使えないので不要。むしろ解体してしまいたい。解体費用と被相続人が管理していた墓とお仏壇の片づけにかかる費用が必要だけれども、手元にそのお金はない。この費用も何とか受け取れないものだろうかという相談でした。
相談者がY行政書士にこのことを話したところ、「家を相続して、土地ごと売ればいいのでは」と言われたそうです。しかし、土地は売りたくないとのことです。
被相続人と相談者の関係はあまりよくなく、日常の交流はほぼ無いような状態でした。また、他の相続人との関係もほぼ断絶しています。連絡先はY行政書士が把握しているそうです。遺言執行者の行政書士ともあまり関係はよくありません。
私の考えとしては、こういう状態だと、遺産分割協議をやり直すしかない。しかし、協議ができない状態では遺言のとおりにするしかない。遺言執行者としても、遺言で定められたとおりに行わないと義務を果たせない。
どうしてもというなら、他の相続人の住所をY行政書士に聞いて、それぞれに郵便を送って、解体費用を確保させてもらうように交渉するしかないのではないかと思います。
あえて争うとするなら、家の相続登記を行わず、共有状態にしておく。そうすると各相続人に固定資産税の納入義務は残るでしょうから、「私が固定資産税を納めなかったら、皆にも差し押さえが行くかもしれませんよ」と伝えて、上記のように解体費用を相続財産から支払ってもらえるように交渉していく。
ちょっと危険だとは思いますが、他に手の打ちようが見つかりません。弁護士を立てて争うことはしたくないとの意向もありました。
以上の状況です。あきらめるか、相続登記を行わないで抗うか、その他の手段があるのかどうか、アドバイス頂けないでしょうか。
